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りだ。
「動いてくれよっ! もうお前だけなんだっ! 頼むからっ、何でもするからよ〜〜〜っ!」
レポートではピエトロ・ド・ブラドーが滅びて以降、マリアシリーズを生産していた会社の持ち株すら全て売却。 衰えたカオスを引き取って、人との関わりを完全に絶ち、異常なまでに魔術の研究に没頭とあった。 研究課題は、生命復活の可能性…… 愚かだ。
「なんで動かないんだ〜〜、マリア〜〜〜〜〜!」
また無様な泣き声が聞こえて来た。 これが本当に上級魔族を倒した男なのか? 神族ではこの試練を乗り越えて、現世の無常を知り、無一物の境地を悟る事を期待しているそうだ。
フンッ、虫唾が走る言葉ばかりだ、あの男が煩悩を捨てるはずがない。 禁断の林檎をたらふく食らわせてやろう。
「あの、申し訳ありません、春桐さん。 彼は落ち込んでいますので、今はそっとしてやって下さい、お願いします」
アンドロイドにしては、砕けた話し方をする奴だ。 十字架か… さっきの写真の神父と同じ顔をしている。
「それを元気付けてやろうと言うのだ。 それにカオスとも面識がある、霊前に参らせてもらおうか」
「はぁ、分かりました。 彼を落ち着かせますので、少々お待ち下さい」
ハンカチを出して額を拭うアンドロイド、癖までコピーしてあるのか?
「ワルキューレがっ? 本当ですか? 嘘じゃないんですねっ、神父っ」
「ああ、本当だよ横島君。 さあ、顔を洗って着替えなさい、お客様に失礼だよ」
アンドロイドに敬語を使って神父と呼んでいる。 分かってやっているのか、すでに狂っているのか? どちらにしろまともじゃない。
「入るぞっ」
その部屋の中も異常だった。 壁一面に古い写真が焼き付けられていて、ミカミや九尾の狐、幽霊娘、狼族の娘、その中心にこいつが写っていた。
珍しい写真だったのだろう、何度も修復された跡があって、引き伸ばされて粒子も粗い。 3次元写真など存在しなかった時代の代物だ。
「ああ… 本当だ…… 本物のワルキューレだっ」
痩せ細って、不精髭を生やした男が、這うように近付いて来る。 これが計画通りなら神族の勝ちだな、こいつはもうすぐ即身仏になれる。
「確認しないでも、ちゃんと足は付いてるぞ」
足にまとわり付いて来る奴に、いつもの挨拶を つまり、蹴り飛ばして踏み付けてやる。
「本物だ… 暖かい、プログラムじゃない。 自分の意志で動いてる…」
こいつの現在の生活は、大昔のボロアパートを再現した部屋の隣にカオスが住んでいて、壁のドアや、裏の工房から行き来できるようにしていたらしい。
その反対側にはハナトと言う母娘のアンドロイドがいて、こいつのおかげで母親は元気になり、幸せに
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