暁 〜小説投稿サイト〜
その日はいつかやって来る
02
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姉上、寝所へ」

「もう私を姉と呼ぶな」

「はい…」

 私から目をそらすなジーク、お前がいくらその女を欲しがっても、決して振り向きはしない。 力で劣るお前には手の届かない「魔王」なのだからな。

「では、母… 前女王を棺へ…」

「触るな」

 侍女達を追い払い、あの人の隣に横たわると、赤く透明な蓋が乗せられた。 重い蓋を通して、あいつの気味の悪い祈りが聞こえて来る。

「……その良き伴侶と共に眠り、古き良き時代の夢の中で、ささくれた心に再び安らぎが訪れん事を願う… エイメンッ!」

 バキッ!

 宝石の蓋に封印がかけられた。 お笑いだ、末代までの恥だ。 魔王の娘が白魔術を使うなど… だが我らとの戦いには最高の武器だ… 


 夢を見ていた… あの人の隣で夢を見ていた……  私もタマモのように夢を見るのか? 百年にも満たない幸せだった時間。私を堕落させた甘く切ない夢を…………


 GS美神から約千年後

 パチッ、カチカチッ、キュッキュッキュ

「さあ、今度こそ動いてくれよっ、頼む、頼むぞっ」

 カチッ、ウィイイイイイイイッ、ヒュウウン、ストン

「何で動かないんだよっ! 配線も直したじゃないかっ、バッテリーだって変えたっ!  部品だってどこも壊れてなじゃないかっ、頼むから動いてくれよっ! マリアーーーーーーッ!!」

 無様だ。 報告によるとドクターカオスなる男が死亡してから3日間、ああやって泣きながら、飲まず食わずで機械人形を動かそうとしているらしい。

《状況開始》

 色々な陣営で監視されている奴のために、古い顔馴染みの私が召集された。 間違いなくあちらでも同じ事をしているだろう。 何しろ奴らは「慈悲深い」そうだからな。

 この家に春桐真奈美が訪ねるのは違反では無い、哀れな旧友を救ってやろうと言うのだから、奴らに感謝されてもいいぐらいだ。

『いらっしゃいませ、春桐様。 現在、横島は多忙なため、応接間でお待ち下さい。 お飲み物は何に致しましょう?』

「不要だ、本人に会いたい」

『かしこまりました』

 タッチの差で我々の勝ちだ。 小竜姫もヒャクメも人間界にはいない、果たして間に合うかな?

 ヒュンッ

 ゲートが消えて中に案内されると、玄関の異様な装飾が目に入った。 正面の壁一面に巨大な全体写真が焼き付けられている… 南極から帰った時の物だろう。 

「ふっ、ほとんど等身大だな」

 通路にもミカミ親子、眼鏡を掛けた神父、魔装した男、幽霊娘。 ん? 神族は写真に写っていいのか? 絵かも知れない 私とジーク? きっと絵だ。

 天井にまで貼ってある… そう言えば先ほどからすれ違うアンドロイド達も、どこかで見たような顔ばか
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