目覚めない男
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っと起きていたというユキノさんが見ていないということは、彼は始めからここに来ていないということになる。でもなんで?俺たちにウソをついたってこと?
ガチャッ
そんなことを考えていると、医務室の扉が開き、中に先程別れた青年が入ってくる。
「あれ?シリル?カグラさん?どうしたの?」
何気ない顔で入ってきた彼を見て、なぜか安心した。だって、ただ道に迷っていただけで、入れ違いになっただけだったようだから。
「グラシアン。傷を見せろ」
「は?」
ユキノさんたちの様子を見に来た彼にカグラさんが詰め寄ると、鋭い視線でそう告げる。そう言われた青年は何のことかしらを切ろうとしたが、彼女の鋭い視線に苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
「もし断れば、今回の作戦から抜けてもらう」
「・・・わかった」
渋々、脅された形になった彼は傷口を見せる。そこには、先日はなくなっていた傷が、深く刻まれていた。
「え?これってどういう・・・」
ケガをした前日はなくなっていたのに、なぜ今になって傷口が現れたのかわからない。疑問で首を傾げていると、カグラさんは大きくタメ息をついた。
「やはり、幻影で誤魔化していたんだな」
「え?」
そう言われると、グラシアンさんの魔法ならいくらでも傷を隠すことはできることに気が付く。そこまでして作戦から外されたくなかったのか。
「シリル、しっかり治療しておいてくれ。予定日に間に合うようにな」
「はい!!」
人数の関係上、ここで彼を外すことはできない。なので、正直に報告してくれた礼としてリオンさんたちには伝えず、俺が治療する形で誤魔化すことにした。
それからさらに二週間が経過した。
予想通り見回り期間中に攻めてこられることもなく、グラシアンさんの傷もほとんど治癒して何事もなく過ごせるレベルまでなっている。他の皆さんもほとんど目覚めており、作戦にも、王国兵のフォローとしてだが参加できそうな段階まで来ていた。一人を除いては。
「レオンが起きないの?」
時刻は夜。この時間帯はシェリアたちのグループが見回り隊となっているため、俺とウェンディは医務室にやって来ているのだが、交代のためにやって来た少女に現在の状況を伝えておく。
「うん。他の皆さんは目覚めてるんだけど、レオンだけはどうしても起きなくて・・・」
元々傷が深いこともあり、そう簡単に目覚めることはないと思っていたけど、ここまで起きないのはあまりにも異常だ。あいつのことだから、「お腹減った」とか言って起きるんじゃないかとも思っていたけど、その兆候は一切なく、点滴で栄養を送っている状態になっている。
「もしかしたら起きるのかも
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