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レーヴァティン
第八話 神殿にてその四

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「どうやって行くかだ」
「これまで読んだ書にはだ」
「ああ、魔神の居場所も書かれてないしな」
「下の海には行ける」
「島を行き来してる空飛ぶ船を使ってな」
 そうした船もあるのだ、この世界には。
「空船は海の上でも動けるのがあるし」
「それが使えるがな」
「海の魔神というからには海にいることは間違いない」
「海の何処かにいるって書いてあるな」
 魔神はというのだ。
「確かにな」
「そうだな」
「ああ、そうはな」
「しかしだ」 
 それでもとだ、英雄は考えている久志に言った。
「具体的に何処にいるかはわからない」
「広い海の何処か、か」
「そこまではわからない」
「じゃあどうしようもないな」
「そしてこの世界のモンスターや巨人だが」
「その魔神が関わっているみたいだな」
「黒幕ではないかという指摘がある」
 今読んでいる書の文章を見つつだ、英雄は言った。
「ここにな」
「それ本当の話かね」
「そうかも知れないしだ」
「違うかも知れないか」
「不確かな情報かも知れない」
 その可能性もだ、英雄は否定しなかった。書に書かれていることや神官の言葉が常に正しいという訳ではないというのだ。
「不確かな情報を確かだと確信して書き残す」
「よくあるな」
「日本のマスコミは意図的に行うがな」
 このことは常である。
「しかしだ」
「それでもか」
「そうしたことはある」
「この世界でもそれは同じか」
「そうだ、だからだ」
「その話も確かじゃないか」
「そうなる、しかしだ」
 それでもとだ、英雄は久志にさらに言った。
「複数の情報を手に入れて検証していくといい」
「それで真偽がわかるな」
「一方が間違っていても調べていけばだ」
「どっちが正しいかもわかる」
「それもこの世界でも同じである筈だ」
 英雄は鋭い目になり久志に語った。
「文字と言葉がある限りな」
「間違った話もあれば正しい話もある」
「世の中正しい話だけならこれ以上はまでになく楽で退屈で下らない世界になる」
 英雄はにこりともせずこうも言ってみせた。
「何も味気ないな」
「おいおい、そう言うのかよ」
「完全な善意だけでも完全な悪意だけでもだ」
「楽で退屈で下らないか」
「そうした世界になる」
「だから真偽両方がある方がいいか」
「完全程つまらないものはない」
 英雄はさらに言った。
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