黒衣を狙いし紅の剣製 01
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時間というものは自分で思っている以上に早く流れていく。
最近そのように思うようになったのは、学生という身分から社会人に変わったからだろうか。
我の名前はディアーチェ・K・クローディア。親しい者からは王さまという愛称で呼ばれておる。
今年大学を卒業した我は長年過ごした地球から魔法世界に戻り、ミッドチルダで一人暮らしを始めた。実家に戻らなかった理由は、ミッドチルダで自分の喫茶店を始めるからだ。
喫茶店の名前は《翠屋ミッドチルダ店》。
名前から分かるものもおるだろうが、高町夫妻が地球で経営している喫茶店の2号店だ。
我は長年翠屋でバイトをさせてもらっていたのだが、高町夫妻にコーヒーの入れ方やお菓子作りをご教授いただき、将来自分の店を持ちたいと相談したところ翠屋の名前をぜひ使ってほしいということになったのだ。
断る理由がなかった我は無論それを承諾した。
多くの客に安らぎを与えたいとも思っているが、何より働いてばかりの我の友人が少しでも休みに来てくれたら嬉しいからな。中学生の頃などは共に地球の翠屋で何度も茶会をしたのだから。
「……ん?」
洗い物をしていると、来客を知らせるベルが鳴る。
翠屋の名前を使わせてもらっているとはいえ、魔法世界では馴染みはない。そのため開店して間もない今、ここに来る客は多くない。まあ我ひとりしかいないような状態なので繁盛し過ぎるのも困るのだが。
店の中に入ってきたのは我の古くからの友人達。いつもデバイスの研究に打ち込んでいる者達だ。ただひとつおかしいことがある。
我の記憶が正しければ、まだ昼休みの時間には早い。早めに休憩を取ることにでもなったのだろうか。まあこやつらが仕事をサボるとは思えんから深く考える必要はないのであろうが。
「ディアーチェ、お邪魔します」
「王さま、お邪魔するよ〜!」
「レヴィ、あんまり大きな声出しちゃダメですよ。お邪魔しますねディアーチェ」
店内に入ってきたのは3名。
まずは短めに整え襟足付近だけ伸ばしている茶髪の女性。名前はシュテル・スタークス。メガネを掛けていて周囲からはクールな性格だと思われていそうだが、無表情の割に人のことをからかう茶目っ気のある奴だ。まあ意外と人に構ってほしい可愛い奴なのだが……頻繁にからかわれると苛立ちしかしないが。
元気に挨拶をしてきたのはレヴィ・ラッセル。青い長髪と赤い瞳が特徴的でスタイルも良い。他の者が悪いわけではないのだが、身長が高い分良く見えてしまうのが人の性というものだろう。子供の頃とあまり変わらないように思えるが、社会人として生活は出来ているので多少は落ち着いたのかもしれない。
最後はユーリ・エーベルヴァイン。彼女はウェーブの掛かった金色の長髪に金色の瞳が目を惹く我やシュテル達の妹のような存
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