黒衣を狙いし紅の剣製 01
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身体こそ大きくなったが精神的には昔からあまり変わらんからなこやつは。散々あやつや我などから言われた結果、多少は男女の距離感を考えるようになったというか、過度なスキンシップは控えるようにはなったが。
しかし……今日の様子を見る限り、あやつが来たら抱き着きそうだ。あやつはレヴィに対しては厳しく言えんからなぁ……そうなれば我が言うしかあるまい。
「……む?」
ふと耳に車のエンジン音が聞こえてくる。
店の隣には小さいが駐車場はある。なので来客や業者の車両はそこに止まるだろう。
だが……エンジン音からして一般的なものとは異なる。この音からしてスポーツカーに搭載されているようなエンジン音だ。
この店にそのような車で来そうな者は……
「悪い、野暮用で遅れた」
店の中に入ってきたのは先ほどから話に出ていた人物。
我らとも10年以上の付き合いになる夜月翔である。180センチほどの長身であり、落ち着いた雰囲気のある男だ。まあ我を含めた身近な者からは無愛想だの冷たいだの言われたりもしているが。
「ショウさん、大丈夫ですよ。私達もまだ来たばかりですから……それにしても今日は車で来たんですね。一度家に帰られると言っていたのでバイクで来るかと思ってました」
「確かにバイクの方が乗り慣れてるし、楽なんだが資料やらを届けないといけなかったからな」
「やれやれ……そこは素直に言わずに私達が居るから帰りは送ってやろうと思ったんだ、とでも言えば好感度を稼げたでしょうに」
「前は素直になれって言っておきながら今度は逆かよ。お前って本当捻くれてるよな」
「えっへん」
「褒めてねぇよ」
まったく……仲睦まじくしよってからに。
日頃我の知らんところでこのような雰囲気で話しておるのかと思うと……少し思うところがある。まあ別々の道を選んだのだから仕方がないことではあるが。
にしても……真っ先に行動しそうだったあやつの声を聞いておらんな。あやつはいったい何を……何をしておるのだあやつは。
我が探した人物は窓際に移動していたかと思うと、旅行中の子供のように目を輝かせた状態で駐車場の方を見ている。
「レヴィ、貴様は何をしておるのだ?」
「王さま!」
「何だ?」
「あの車ってショウの車なのかな? 黒でスタイリッシュでカッコいい!」
ああそういうことか。
一緒に仕事をする機会の多いシュテル達や我は店の手伝いの時などで見たことがあったが、レヴィはまだ見たことがなかったようだ。
レヴィは昔からスポーツだけでなく、ロボットやメカといった男が好きなものが好きだった。あのように騒ぐの無理はない。
「ねぇねぇショウ、ボクあとであれに乗ってみたい!」
「ん、あぁいいぞ」
「やったー!」
子供のように
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