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詩集「棘」
幻は儚く露と消え

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時は途絶えることなく流れ
果てることない日々は現…
恋しさに嘆こうとも
他人事のように去ってゆく…

砂漠を彷徨うロプノール
恐れへと沈みし長岡京
在りし日の影は今も…

幻は儚く露と消え
想うは侘しきわれ一人
朝の希望に舞う鳥さえも
疎ましく見える虚しさよ…


初夏の空はどこまでも遥か
尽きない想いを包み込む…
君と共に在りたいと
願う淋しさ癒しゆき…

時に乱れしモンサンミッシェル
灰塵に帰したポンペイの街
歴史はただ埋もれゆき…

幻は儚く露と消え
溜め息を吐きて項垂れて
寂しさ香る黄昏さえも
われを一人残して消えた…


恋など一時のまやかし
そう思わないと辛すぎて…
それでも求め手を伸ばしたら
時の刄が切りつける…

幻は儚く露と消え
君の影さえ今はもう…
告げることなき言葉は澱み
われと共にいつかは朽ちて…

幻は儚く露と消え
想うは侘しきわれ一人
朝の希望に舞う鳥さえも
疎ましく見える虚しさよ…




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