第四幕その十一
[8]前話 [2]次話
「一度も」
「そうそう、励ましていたけれど」
ジップも言います。
「具体的な言葉は言わなかったね」
「日本語ならではの言い回しだったわね」
ガブガブはこう言いました。
「遠回しの」
「英語以上にそうだったね」
「ええ、そうね」
チープサイドの家族も言います。
「日本語を上手に使って」
「太田さんを上手に励ましたわね」
「先生の日本語も上手だったけれど」
トートーはもう日本語を日本人並に操っている先生のそのことに流石だと思いつつ述べるのでした。そのうえで。
「遠回しな励ましに徹してね」
「上手に太田さんの状況も聞いてたね」
チーチーはお医者さんとしての先生について言及しました。
「あれがよかったかもね」
「うん、それで太田さんもね」
ホワイティも言います。
「元気になって帰ったわね」
「まだ何かありそうだけれど」
老馬はこのことも感じていました。
「けれどね」
「かなり楽になったことはね」
「確かだね」
オシツオサレツも感じています、このことは。
「太田さんも」
「先生とお話が出来て」
「さっきも言ったけれどね」
あらためて言った先生でした、皆に。紅茶はさっきの紅茶は飲んで二杯目を飲んでいます。そのうえでのお話です。
「スランプと鬱病は似ている場合もあるんだ」
「ああ、さっき言ってたね」
「そういえばそうだったわね」
「だからなんだ」
「あの言い回しだったんだ」
「うん、頑張れともね」
この言葉もというのです。
「言わなかったんだ」
「あえて?」
「そうだったんだ」
「あえて言わずに」
「そうしていたの」
「日本語は実際にね」
先生は今は動物の皆とお話していますがこの国の言葉のお話もしました。
「婉曲な物言いが発達してるからね」
「こうした時はなんだ」
「便利なんだ」
「そうなんだね」
「あの時もそうしてお話していたんだ」
「鬱病の人には頑張れとは言ったらいけないからね」
このことも言ったのでした。
「言葉も選んでいたよ」
「日本語の言葉を」
「そうしてたんだ」
「お医者さんとしてお話していて」
「注意していたんだ」
「うん、太田君もね」
あの人のこともお話するのでした。
「かなり楽になったみたいだね、ただ」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「何かあったの?」
「それで」
「うん、まだスランプの原因がありそうだね」
このことも感じ取っているのでした。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ