第21話<艦娘の絆>
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うことだ」
「へぇ」
夕立は感心している。実は私も同じだった。日向のような戦艦クラスの艦娘になると、さすが分析力が優れているな。
その日向はチラチラと外を警戒しながら続ける。
「何しろ戦車まで持ってきた連中だ。それが一両だけ単独で上陸したとは考え難い」
私も頷きながら説明する。
「この旧市街は路地が多い。建物の陰に潜むには敵、味方とも具合が良いからな。油断は出来ない」
日向も淡々と付け加える。
「迎えの艦隊が来るまでは、ここが敵に発見されなければ良いのだが……確率は五分五分の線だな」
「えぇ? 怖いっぽいぃ」
嘆く夕立。
だが日向は不敵に笑う。
「大丈夫。いざとなったら私が盾になるから……」
私は苦笑した。日向の場合、冗談では済まされない雰囲気があるんだ。
深刻な雰囲気になりそうだったので私は話題を変えようとした。
「しかし、とんだ墓参になった……責めるつもりはないが祥高さんの読みは外れたな」
すると夕立。
「違うよ、その深海棲艦が執念深いっぽい!」
「はは、それは言えてるな」
彼女は何気なく言ったのだろうが妙に的を得ていた。日向も微笑んでいる。
日向に伸された深海棲艦が沈黙している今が撤収のチャンスだろう。
ただ、この二人には、ある程度の理解があるとしても実際に深海棲艦を鎮守府へ連れて帰ったら他の艦娘たちが複雑な感情を抱く可能性はあるな。
「やはり、私は甘いかな」
ふと呟いた。
だが元帥閣下が私たちの行動を知り即時、干渉してきた意図は何だろうか? 少し気になった。
その時、警戒していた日向が再び報告する。
「秘書艦より入電。移送の駆逐艦娘は、黒潮、白雪、雪風、大潮、荒潮、朝潮、長月、霞です」
「おお、鎮守府の中堅駆逐艦が勢ぞろいだな」
私が言うと、夕立が続ける。
「……第六駆逐隊と島風ちゃんは入っていないね」
あ、確かにそうだな。
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