第21話<艦娘の絆>
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が望ましいかと存じます」
すると夕立も言った。
「良いよぉ。私だって軍用車くらい運転出来るっぽい」
何か、この子の口癖は拍子抜けするんだよな。
苦笑する私に日向は真面目な顔で言った。
「ちょっと私から秘書艦に進言して見ましょう」
「頼む」
再び彼女は路地の出口付近で通信を始めた。
「司令ぇ、寛代ちゃんの面倒は私が代わるッぽい?」
夕立が寛代を抱きかかえている私に手を伸ばす。
「いや、お前だって腕を怪我しているだろ?」
「あ……、それっぽい」
夕立は頭に手をやって舌を出す。
「やれやれ」
私は苦笑したが、何故か彼女を見てホッとした。
一見すると、おバカのように見える艦娘たちも、その心は意外に温かいのだ。そこに艦娘同士の絆の深さを感じた。
最初は、なかなか艦娘たちとの距離感が掴めなかったが、時間をかければ徐々に近くなるものだな。
日向が外を警戒しながら戻って来た。
「司令、秘書艦より返信。私の提案は受理され、夕立を海上で搬送する作戦に変更されました」
「えぇ? 私ぃ、車で大丈夫っぽい」
夕立は反論している。
だが日向は言った。
「貴女を中心として考えるのではなくチーム全体を見て。もしも今後、突発的な事態が起きたとき、どちらが対応しやすいと思う?」
「ぽいぃ……」
少し口を尖らせながらも少し考え込む夕立。
「うん、分かったっぽい」
どうやら彼女も後の作戦の方が良いと感じたらしい。
「それで良い」
日向は頷きながら淡々と応える。彼女たちのやり取りに私が口を挟む余地はなかった。
改めて日向は路地から表を覗きながら言う。
「暫くは、ここで待つしかないようだ」
彼女の後姿を見ながら私は言う。
「その路地を出ると境港の岸壁になっているだろう」
「そうですね」
日向も艦娘だからな。境港市の旧市街は初めてだろう。
私は記憶を手繰りながら続ける。
「そこは境水道(海峡)に平行した直線道路が続いて見通しが良い」
「……」
私の言葉に日向は黙って様子を見ていたが、外を見ながら口を開いた。
「ちょうど良い按配に破壊された戦車が私たちの路地を塞いで簡単な防壁になっていますが」
「なるほど目隠しか……だがそれは敵の目標にもなるな」
「確かに」
すると夕立の高い声が聞こえた。
「ねぇねぇ、岸壁の向こうって川じゃないっぽい?」
私と日向は苦笑した。
「私たちの目の前にある境水道は島根半島に挟まれた一種の海峡で、狭いなりに見通しが良い」
日向は改めて夕立に説明をしている。
「だから撤収作戦を決行するには地上、海上ともに制圧しておくか、敵が来る前に迅速に作戦を遂行する必要があるとい
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