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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
ALO編ーフェアリィ・ダンスー
14.許された過去
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ない。女性の目を見ることができない。
ただ時間だけが過ぎていく。
どれだけの時間が経っただろうか。不意に女性は呟いた。
「頭をあげてください」
その言葉に集也はゆっくりと顔を上げた。そして美咲の母親の目を見る。彼女の目から大粒の涙が流れ落ちていた。しかしその表情は集也に対する憎悪や怒りといったものではなくなぜか優しい表情をしていた。
そして彼女はゆっくりと口を開いた。
「話してくださいますか。……あなたが知ってる美咲のことを」
集也は自分の知ることを全て話した。ミサキとの出会い、ギルド《希望》のこと、自分が嘘をついて一緒にいたこと、そしてミサキの最後。
母親は何も言わずに頷く。時折、その目からは涙が流れるがそんなことも気にせずに集也の話を真剣に聞いている。
全てを話し終えると一言、「そうですか」といって俯いた。そこからまた大きな沈黙が生まれる。
そして口を開いた。
「集也さん」
「は、はい」
どんなことでも言われる覚悟はできていた。
しかし、女性の口から言われた言葉に集也は焦った。
「あなたのキャラネームって言うんですか? 教えてもらってもいいですか?」
予想外の質問に集也はなんと答えていいのかわからなくなる。すぐに正気に戻った集也は、一拍あけてから呟いた。
「……シュウです」
「そう、ですか」
集也の言葉を聞いてミサキの母親は、また優しい表情を浮かべて頬を伝う涙を拭う。
わからない。なんでこの人は娘の命を奪った犯罪者にそんな顔ができるんだ。
そして女性ははっきりとした口調で、
「それなら、私はあなたを許しますよ」
「……えっ」
この人が集也を許すわけがない。許していいわけがない。許されるわけがない。
最愛の娘を手にかけ、その上で暴走の果てに何人もの命をこの手で消し去った
犯罪者
(
レッド
)
にそんな言葉をかけてもらえる資格などないのだから。
「……それが美咲の最後の言葉でしたから」
墓石を見つめるミサキの母親。その目に再び、涙を浮かべている。
「ミサキの……言葉?」
意味がわからなかった。
ミサキの言葉。シュウにかけてくれた言葉のことを言っているのだろうか?
それともクリスタルに残されていた言葉のことを言っているのだろうか?
どれもありえない。あれはSAOの中のことを現実にいたはずのミサキの母親が知っているわけがない。
彼女は優しい声でその言葉を紡いでいく。
「美咲が死んだ日は今でも覚えています。病室でまるで眠るように息を引き取っていった」
それはシュウがミサキのHPを削りとったあの瞬間だ。彼女もシュウと同じようにミサキの最後を見た。
「ミサキが死んでしまう
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