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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
3-6 勝利をこの手に
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く、おっちょこちょいですのね」
「うぅ…」
やれやれといった様子ですみれが呆れたように呟く。言い返してやりたかったが、さくらもドジなところが目立つという自覚があるのでできなかった。
「この穴、もしや敵がこの中に逃げ込んだのか?」
大神は、さくらが落ちかけた穴を覗いて見る。しかしマリアの口から否定的な言葉が放たれる。
「いえ、どうやらそうとは限らないかもしれません」
彼女の視線は、別の方向を向いていた。その視線につられ、大神たちも周囲を見渡す。
そこには、さくらが落ちたような穴が他にも見られた。それもひとつだけじゃない。上野公園の敷地内にいくつも空けられていた。
「この穴はいったい…?」
疑問と疑惑を募らせる中、赤い巨人となっているジンもまた、このいくつも開けられた穴に首を傾げていた。
この穴は、おそらく黒い霧にまぎれて攻撃してきていた敵があけたものだ。地面に穴を開けてこちらを攻撃する…つまり、敵は…
「ッ!!」
そこでようやく気づいた。だが、気づくのが遅かった!
突然ジンの足元から、黒い霧にまぎれて攻撃を仕掛けていたあのハサミ付きの触手…いや、腕が伸びてきた。さっきと巻き付き方が全く異なっていた。体中に蛇のように巻きついて来て、最終的にハサミが彼の首を挟み込んだ。
「グ、ウゥ…!!」
ジンがさっきよりも締め付けてくるハサミ付きの腕の強烈な力に、膝を付いてしまう。それと同時に、地面から土しぶきが巻き起こり、巨大な一体の降魔が姿を現した。
「あれは…!!」
大神たちもその巨大な降魔を見て、目を見開いた。
耳の部分に、互いに反対側を向け続けている突起を生やし、目を持っていないような、代わりに降魔と同じ飢え切ったような涎まみれの牙と口を持ち、その体表もどす黒さを混じらせた紫色に染まっている。
こいつが、上野公園に新たな悲劇をもたらした正体『岩石魔獣デビルサドラ』である。
(くそ、そういうことか…!!)
デビルサドラの拘束に苦しめられ続けながら、ジンは気づいた。なぜ霧の中で奴がこちらに不意打ちを仕掛け続けながらも、こちらに現在地を悟られなかったのは。黒い霧は妖力を混じらせた霧のため、広範囲に充満させると、その中にまぎれた降魔や脇侍の位置を特定させない。帝劇のレーダーでも探知できないので黒い霧だけで十分だった。だが、赤い巨人のジンとなると、黒い霧だけでは姿を隠せない。敵はそれにあらかじめ気づいているかのように、『霧に隠れて攻撃していると見せかけて』、実際は地中に潜り、そこからジンや花組を強襲しつづけていたのである。
ジンが満身創痍であると判断したサドラはもはや姿を隠すまでもないと、自ら姿を見せて止めを刺しに来たのだ。
このままだとやられてしまう。そうなったら、今度こいつの牙は…大神たちや帝都の人々に向けられること
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