誕生、前代未聞の冒険者
第十話
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で、その蜘蛛さんにリーシャが捕まったのだが、かなり大変な事態である。
「くっ、殺せ!辱しめを受けるより死ぬ方がましだ!」
こういう系統でお決まりの台詞を言ってくれるリーシャ。リーシャに近付く蜘蛛さん。…やれやれ。
「燃えろっ!!」
ホット・ペッパーで蜘蛛さんとリーシャを包む糸を焼く。少し熱いけど我慢してよね!
「ヨーン!…ヨーンッ…!」
「大丈夫、離れないで!」
自由になって僕に駆け寄り、背にしがみつくリーシャ。強がっていても、怖かったに違いない。
炎の中から蜘蛛さんが出てくる。焦げて弱ってはいるが、行動に支障は感じられない。でも僕の武器はホット・ペッパーだけじゃない。
「鳴神!」
蜘蛛さんに、鳴神最大の雷をお見舞いする。素材は惜しいが、リーシャの安全を省みれば、一番の選択だろう。雷により、蜘蛛さんが跡形も無くなったのを確認し、鳴神を戻す。
「…また今みたいな事になるかもしれない、リーシャ、動ける?」
「ヨーン…ヨーン…」
しがみついて震えたまま、僕を呼びながら動かない、動けないリーシャ。無理もない。僕が居なければどうなったか、身をもって体験したのだ。リーシャの反応が普通である。
「仕方無いか。リーシャ、ゴメンね」
「あっ…、よ、ヨーン…!」
リーシャをお姫様抱っこで抱える。軽いな、女の子って。
「少し恥ずかしいだろうけど、落ち着くまでコレで行くね。」
「…うん…」
僕の首に手を回し、安心したようなリーシャ。ともかくは安全な場所、受付に向かおうと僕は歩き出した。
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「…ヨーンさんのお話は分かりました。エルフの事も、ご本人が居られるので、事実と受け止めます」
「…………」
「また機会を見て訪れます。リーシャも送らなければならないですし」
首尾よく転移陣で受付まで帰還し、不満げなリーシャを横に説明に勤しむ僕。100階の先には森があり、エルフが居たという話はともすれば笑い話にされそうだが、リーシャが高らかに肯定した為に、真実として受け止められた。
「ですが青春ですね、ヨーンさん。モニターに写ってくる甘酸っぱさに、キュンキュンしましたよ?」
「?青春…ですか?…リーシャ分かる?」
やけに生暖かい視線を沢山感じるので、リーシャに訊くが、ソッポを向かれてしまった。
「やりますなぁ、ヨーン!」
「甘ったるさも時には悪かねぇな」
「エルフの姉ちゃん、ヨーンを宜しくな!」
各々好きに声を掛けてくる。リーシャが真っ赤になっていたが、どうしたのかな?
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事情があるとはいえ、リーシャを連れ出してしまったし、時間も遅いのでリーシャを泊める事になった。最初は女同士のほうがとリアさんに
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