黒衣を狙いし紅の剣製 00
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る性格だった場合、マスターに危険を及ぼす可能性が出てくる。
それがデバイスマイスターならば誰もが考えうることだ。私よりも優れている頭脳を持っていたあの男が分かっていないはずがない。そう理解できていても指摘せずにはいられなかった。
『何を言っているんだ貴様は! 確かに多少なりとも人間性は必要だ。インテリジェントデバイスは持ち主に合わせて最適化されるべきものだからな。しかし、必要以上の人間性などいらん。デバイスは魔導士の武器であり、犯罪者を取り締まっていく上で欠かせないものだ』
『それは……まあそうなんだろうけど。でも』
『でも、ではない! もしも必要以上に人間らしいデバイスを作り、それが原因で使用者に反発でもしてみろ。危険に晒されるのは使用者なんだぞ!』
最もらしいことを口にしたが、このときの私の本心は別にある。
私よりも優れた頭脳を持ちながらそれを正しい道で発揮しようとしない天才へ嫉妬があったのだ。
いや、今にして思えば憧れていたのかもしれない。この男ならばきっと後世にも名を遺す発明が出来る。自分が技術力で敵わなくてもこの男と張り合い、それで己の名が広まらなかったとしてもそれは本望だと。
だからこそ私は声を荒げたのだ。
だが……やはりあの男は天才だった。私を含め多くのデバイスマイスターは目先のことしか考えていないことを痛感させてきたのだから。
『確かにその可能性はあるよ。でも……魔導士が任務中に負傷するなんて話はよくあるし、もしかするとそれが原因で魔導士として仕事ができなくなるかもしれない。そうなった時、家族が居ればいいけど居ない人はどうやって生活するんだい?』
『それは……』
『それに退職していく魔導士は毎年のように居るんだ。もしもデバイスが人間らしくなって……人間と同じように活動ができるようになったのなら救われる魔導士も多いはずだよ。グリード、オレはね……』
恐れなんてない。
ただ自分が思ったことを思ったままに為す。
そう意思が感じ取れる昔と何ひとつ変わらない輝いた瞳であいつは言うのだ。
『デバイスを兵器として扱いたくないんだよ。人工とはいえ知能を有しているんだ。ならデバイスは家族のような存在になれると思う。だからオレは少しでもデバイスが人間らしくなるように研究していくよ。まず最初は……人型のフレームでも作ってみようかな』
馬鹿げている。そんなことをして何になるというのだ。たとえその研究が上手くいったところでデバイスに革命的進歩は訪れない。
人間らしいデバイス……それに人型フレームだと。
人型のデバイスが出来たところで何になる。負傷して魔導士でいられなくなった者などタダの役立たずではないか。退職した魔導士も同じように役立たずだ。
にも関わらず……そういう人間のために
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