第四話 INグレンダン(その2)
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、雷迅。
一筋の雷光となって戦場を駆け抜ける。進路上にいるものを跳ね飛ばし、撃ち倒す。防御一辺倒だったニーナの動きが突然変わったことに対応できなかった者に鉄鞭を叩き込み即座に別の者に牙をむく。雷迅を放った直後、体勢を立て直したものがニーナに己の錬金鋼で打ちかかるが金剛剄により弾かれる。先ほどまでとは剄の奔りが段違いであり打撃を加えた側が弾かれた勢いで体勢を崩しその隙に打ち倒される。
メルニスクを解放したニーナの前に次々と打ち倒される。メルニスク、廃貴族による剄量の増加は戦局を一変させる。
廃貴族の力は無限などではなく有限のものである。個人の戦闘力を生み出すのは技量としての『技』、その戦いへと臨む『心』、そして発揮できる剄量の『力』。その中心となる『心』がぶれれば『技』に鋭さは生まれず『力』を生み出す剄脈を満足に働かせることは出来ない。『力』がなければ剄技を使うことは出来ず、『技』がなければどれ程『力』があってもそんな制御されないものは意味をなさない。
だが時として圧倒的な暴力は全てを圧する。普通の武芸者からすれば無限といっていいだけの『力』が廃貴族にはあるのだ。
それ故に本来ならば一方的な展開となっても可笑しくはないにも関わらずそうなっていない、その理由は偏にニーナにあった。
実力はニーナの方が確実に上であるが、心を定めていない状態では十全に発揮できるはずもない。
それは戦いへの疑問。決意し、メルニスクを喚んだ時も疑問を先送りにしたに過ぎない。彼らが語った世界を破壊したいという理由には納得していなかった。そこにはそうであって欲しいという願望が含まれていないと言えば嘘になる。だがそれにしては殺意が無い、正確には殺意に鋭さが感じられないのだ。暗殺を生業とするならば殺意の欠片もなく殺せる者もいるがそんな者がそうそういるはずがない。
それ故打ち倒しても打ち倒しても立ち上がり何度でも向かってくる理由が解らない。狼面衆は『死なない』集団であり、それ故の特攻はあれど理由のあるものだった。しかし今それを感じられない事がニーナの動きを鈍らせ、体より心を消耗させていた。
それはニーナが支配していた場が流れを徐々に変えていく。最後に立っているのはニーナであることは間違いない。だがそこまでにどれだけ時間がかかるか、という事だ。
『主よ、心を定めよ。我は主の剣、なれど主に意志無くば我が力も霞と同じぞ』
いや、終わらせることは簡単なのだ。心に芯を立てれば、力を発揮できれば一瞬のうちである。
『分かっている。分かっている……んだ』
対するニーナの声に力はない。その自覚はある。
通常ならば起き上がってこないほどに鉄鞭を打ち付けている自覚はある。だがそれをモノともしていないかのように再び向かってくる者達。決してその身に受けたダ
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