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鋼殻のレギオス 勝手に24巻 +α
第四話 INグレンダン(その2)
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のね?」
「はい……」
 残念そうな姉にニーナの声も申し訳なさでさらに沈む。
「いいのよ……、ごめんね」
 姉の声の変化に顔を上げたニーナの目の端に何かが映り込む。
「なっ!!!」
 反射的に姉を突き飛ばしたニーナの眼前を鈍い鋼色が通り過ぎる。無論ニーナが全力で突飛ばせばセリーナも無事では済まないので十分に気を付けているが。
「姉上何を! 父上も止めてください」
 いきなりの凶行に父親の方を向いたニーナは目を疑った。そこにいたのは双鉄鞭を構えるアンドレイの姿だった。
「ニーナ、済まない」
 その声に見るとイリアもまたその手に凶器を握っている。
「いったいどうなっているんだ?!」
 混乱するニーナを置いて二人の姉が向かってくる。下手に手を出すと姉たちに怪我を負わせてしまう。二人だけなら一般人と武芸者の差は歴然のため無力化することは容易い。だがそこに自らの父親が加わるとなると格段に難しくなる。そもそも武芸者同士が衝突する余波だけでも十分に危険だ。
 であればこの部屋の中にいるのは取れる選択肢があまりに少ない。一度三人と距離を開け状況を把握しなければならない。とはいえ廊下に出ても狭い事に変わりはない。故に窓をぶち破り庭へ飛び出す。アントーク邸は敷地が広く、庭で武芸の修練を余裕でできる。そこから今自分が飛び出してきた窓を見上げると室内で爆発が起きたように壁が吹き飛び空いた穴から人影が突進してくる。咄嗟に錬金鋼を復元し迎え撃つ。
「お久しぶりです、姉様」
「ルカ、お前までなぜこんなことを」
 噛み合った錬金鋼の向こうには金髪の少年、六年の間に見違えるほどに成長した弟の姿があった。
「姉様、僕たちのために……死んでください」
「なっ?!」
 告げられた言葉に呆然とした一瞬の隙を突いて鉄鞭がニーナを襲う。咄嗟に金剛剄を張るが剄の奔りが十分でなく、自身へのダメージは防げたが衝撃を完全に防ぐことは出来ず吹き飛ばされる。追撃に備え空中で姿勢を立て直し着地する。
「何を言っているんだ、ルカ。冗談だろう?」
 あまりの事に咄嗟に理解できないニーナに弟・ルカは淡々と告げる。
「冗談などではありません」
「私達の為に死んでちょうだい」
 ニーナの左側面にある木の陰からセリーナが姿を現す。
「この世界を壊すために」
 右側面の小山の陰からイリアが。
「お前が生きていては我らが困るのだ」
 後ろからはアンドレイと義母カリンが。
「故にわれらはここへ集った」
「グレイ叔父上、キャシー叔母上!」
 池の畔に、屋敷のベランダや屋上などからニーナを包囲する様に現れる。
「わかったら抵抗するなよ、ニーナ」
「テリオス、ドリーまで」
 幼少の頃、同時に修行を受けていたいとこ達。皆がその手に錬金鋼を持ち、ニーナに対する攻撃の意思を隠そう
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