第四話 INグレンダン(その2)
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ート次第でどうなるのかわからないがこの様子では未だ届いていないのだろう。
「父上、ただいま戻りました。勝手をして申し訳……」
「よくぞ帰ったニーナ。そのことはいい、お前にとって良い糧となったようだからな」
入室し勝手をしたことを謝ろうとするニーナ、だがそれを遮るアンドレイ。一目でニーナの成長を見て取った彼は結果として良かったとも思う。
「ありがとうございます。父上、お渡ししなければならないものがあります」
そう言って取り出したのは二本の錬金鋼、大祖父ジルドレイドが使っていたものだ。レヴァンティンとの戦いで亡くなった大祖父の形見として、大切に保管していた天剣と同じ特別製の錬金鋼だ。
都市外で亡くなった場合遺体そのものを持ち帰ることは極めて難しい為、大抵は遺髪となるが大祖父の場合電子精霊の加護が切れた途端肉体が消失してしまったため錬金鋼以外に遺品となるものが無かった。
「よく持ち帰ってくれた、大祖父様をシュナイバルに還してくれたことは礼を言わねばならんな」
そう言って受け取った錬金鋼を大事に仕舞う。
「大体の所は聞いているが、お前はどうするつもりなのだ?」
父親に問われニーナはあの時グレンダンでの決意を語る。自分が鍵となりこの世界の存続を目指す、と。それを聞いて考え込むアンドレイ、だが次に口を開く前に部屋の外からアクションがあった。
「入れ」
ノックに対し父親が出した入室許可を得て入ってきたのは二人の女性だった。
「姉上、ただいま戻りました」
前に立つ女性、長女のセリーナが穏やかに微笑みながらニーナの前に立つ。
「ニーナ」
穏やかに微笑んだまま右手を振り上げ、平手打ちがニーナの頬に甲高い音を立てて炸裂する。
「勝手に家を飛び出したりして、どれだけ心配かけたと思ってるの」
「心配をお掛けしたことは申し訳なく思っています。ですが私自身で決めたことです。どうしても世界を見てみたかったのです」
謝りはしても自身の行動は曲げないニーナに思わずセリーナも苦笑いを浮かべる。
「全くこんな頑固になって……、誰に似たのかしら?」
「誰の事を言っているのよ。大体姉さんだって十分にそうじゃない「何か言った?」……ううん、何でもナイデス」
セリーナの後ろでもう一人の姉、イリアが小さな声で呟くが聞こえていたのか笑顔で振り向くセリーナに勢いよく首を横に振る。これにはニーナだけでなくアンドレイも思わず苦笑を浮かべる。
仕切り直しとばかりにニーナに向き直ると抱き締める。
「お帰りなさいニーナ、もうどこにもいかないのでしょう?」
「申し訳ありません姉上、ですが私にはやらねばならぬことがあるのです」
申し訳なさそうに、しかしはっきりと自分の意思を伝えるニーナにセリーナの顔が曇るがニーナには見えていない。
「どうしても……な
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