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鋼殻のレギオス 勝手に24巻 +α
第四話 INグレンダン(その2)
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剄を保持したまま自分の部屋に荷物を放り込み目的の部屋へと向かう。邸内で慌ただしく動き回っている者もいるが、クララが突然帰宅するからといって動じない者はある程度区別できる。落ち着いているのはこの家に雇われている者達で、この程度で一々慌てるような使用人は三流でありこの屋敷に雇われたりしない。突き詰めればVIPが急に来た程度でその最たる女王がフリーダムなのだから。慌ただしいのは集められた親族たちだ。それも武芸者である程度の実力を持つ者ばかりだ。そこそこだが世間的には一流と称される者達である、がやはり天剣授受者との間には隔絶した差がある。
 そんな者達を横目に見流す間に目的の部屋の前にたどり着く。伝統的にロンスマイア家当主の部屋、祖父のティグリス亡き後クララ自身が使う筈だったがツェルニに出奔したため使用していない部屋だ。その部屋の扉を躊躇無く押し開く。
「なっ、クラリーベルか!」
「そうですよ、この部屋は今日から私が使うから出て行ってください」
 ドアを開けると同時に殺剄を解除する。突然の登場に驚くその部屋のデスクを使用していた男、確か叔父のうちの一人だったと記憶している、に向けて要求のみを突きつける。
「馬鹿なこと言うなっ?!」
「はいはい、寝言を聞く気はないのでさっさとどきましょうね」
 いきなりの事に理解が追い付かない男に一瞬で近づくと首の後ろを掴み、そのまま吊るし上げる。自分がこの部屋に近づいている事にも気づかなかったのだから大した武芸者ではないと判っていたが、全く反応できていない者がこの椅子に座っていたことに呆れるしかない。
 吊るし上げたまま窓に叩きつけガラスをぶち破り庭へ向け放り投げる。窓を破った音に様子を窺っていた者達が顔を見せる。クララは庭に降り立ちそういった者達を視線は下から精神的には上から睥睨する。
「今日から私が当主になります。貴方達みたいな能無しに任せておいたら家がどうなるか分かったものじゃありませんから」
 歯に衣着せぬ直截な物言いに周囲から怒気が噴出する。今の体制で主流となった者やまがりなりにも今の状況を支えていた者だけでなく勝手に出奔した事に反感を持つ者など理由はそれぞれあれど、いきなりのクララの行動に憤っていることは共通している。
「いきなり何を言っている、勝手に出て行ったお前が。それなのにお前が家の事を語るのか!」
「私だってそんな心算は無かったんですけど、あまりに情けないですから。別に先々どうなろうと知りませんけどね、私がいるのに没落したら私が無能だって事になるのは許せません。大体文句があるんならかかってくればいいんですよ」
「何を言っている?」
「所詮私たちは武芸者、ロンスマイア家は武芸者の家柄ですよ。弱い武芸者に価値はないしそんな者が当主だなんてお笑いですよ。だったら簡単に白黒つければいいんです、
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