第四話 INグレンダン(その2)
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けられた本音に唖然とすると同時に納得してしまう自分がいることにクララは気付いていた。とすると反論の言葉も出てこないのだ。
「はあ……、わかりましたよ。ただし私の権限内の事には口出ししたりはしないでくださいよ」
一応の釘を刺すとあっけらかんとした答えが返ってきた。
「大丈夫よ、私に残るのはクララが私に基本的な政務を割り振れないって事と戦場ぐらいだから。自由にやってくれていいわ」
「それって全部じゃないですか、完全に丸投げですよね!」
ある程度とかそんなレベルを遥かに通り越した範囲に突っ込むまいと思っていたがあまりの事に口を突いて出てくるのを止めることは出来なかった。
だがそんなことを気にするような相手ではない。
「それはそうよ、最初から私が楽をするためだって言ってるじゃない」
胸を張って宣言するアルシェイラには当然ながら後ろめたさなど一切なかった。
「そんなわけで女王代理になったんですよ。ロンスマイア家は私がいないのをいいことに親戚が勝手に扱って継いだ心算だったのでグレンダン流に解決しましたよ」
あの程度の実力で当主になっても何の意味もないと思うんですけどね、そんなに当主って肩書が欲しいんでしょうか? などとクララがぼやくがニーナが気になったのは別の部分だ。
「なあクララ、グレンダン流というのはどういうことなんだ?」
なんとなく想像はつくが一応は聞いてみる。
「そりゃ勿論、反対する相手を全員叩きのめしたんですよ。武芸者の家ならそれほど不思議ではないでしょう?」
予想通りといえばあまりにも予想通り過ぎる答えにニーナも若干引き気味である。
王宮を出たクラリーベルが向かったのは己が家であるロンスマイア家、その門衛として立つリヴァネス武門の男の横を殺剄をしたまま通り過ぎる。祖父がいれば手紙の一つも出していただろうが、亡くなった今そんな気もないので帰ることを誰にも知らせていない。
といってもエルスマウから知らせが行っているにも関わらず気付かない事に呆れる。もっとも華美な制服を着た彼らは三王家の一員とはいえ端の端なので期待していないが。
端の端とは血筋ではなく実力的なものだ。三王家の当主といった者には血の濃さもある程度は考慮される。だがそこを一歩外れれば実力主義のグレンダンのこと、力があればのし上がれる世界なのだ。そこでこのような閑職に就いているだけで実力の程が分かろうというものだ。
主だった親戚連中に集まるよう伝えておいて貰った筈だが、自身が帰ることを知らせるようには言っていないので伝わっているだろうかと考える。普通に考えれば伝わっているだろうが、あの陛下が『わざわざ』伝えないようにしたかもしれない、とも思う。なんとなく考えはしたが結局のところ『どうでもいい』というのが答えとなる。
殺
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