第四話 INグレンダン(その2)
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よ。それでグレンダンの次の王は多分あんたでしょ」
グレンダンの王位は三王家の持ち回りのような体制で行われている。即ちアルシェイラの次の王はアルモニス家以外のロンスマイア家・ユートノール家のいずれかから出ることが決まっている。
「ミンスの奴にも聞いてみたんだけどね、断ってきたのよ。昔は王位が欲しくて暗殺なんて企んだくせに成りたくないなんてぬかしやがったのよ。それに摂政じみたこともやりたくないっていうんだからユートノールの線は無くなったでしょ」
ミンスが断った事に対しいくらか不満げなアルシェイラ、だがクララにしてみれば別段意外な事ではない。過去の教訓からか苦労性とでもいう性格になったあのミンスが今更そんな目標を持っているとは欠片も思っていなかったからだ。もしなったとして普段の政務ならばともかく戦場を仕切るのは天剣授受者になる。別にそれは過去の王達にもあったことであり問題となるようなことではない。のだがフリーダムな天剣授受者に対する割り切りができる性格でない事もクララにはわかっている。
「だからあとはロンスマイア家、あんたの所だけよ。それにあんたが成りたがっている事は前から知っていたし丁度いいじゃない」
その理屈はクララにも納得のいくものだ。だがそれなら。
「いっそのこと私にさっさと王位を譲ってくれればいいじゃないですか。そうすればいちいち代理だなんだという必要もないし私も陛下に気兼ねすることなくっていいじゃないですか」
カナリスはアルシェイラの影武者でしかなかった。それはカナリスが三王家出身者ではなかったため王位を継承する資格が無く、またカナリス自身影武者という立場に誇りを持っていた。それに加えアルシェイラ自身が女王であることにしっかりとした意義を持っていた。
だが今は違う。アルシェイラが、というかグレンダン王家が備えてきた『その時』はもはや終わりを迎えアルシェイラが女王である意義も薄れている。それに加えてクララはれっきとした三王家の人間で王位を継ぐことに法的な支障もなく、天剣授受者として周囲の認識からいっても問題はない。ならばいっそのこと王位を継承させた方が『代理』などという二人の権力者が存在する事で生じるかもしれない問題を最初から無くすことができる。クララはそう考えたのだがアルシェイラの考えは実に『らしい』ものだった。
「いやよ、だってそうするとクララが私の上に立つってことになるでしょ」
「それはそうですね」
その考えに異存はないので同意する、だがそんな誰が上だとか下だとかいう事にこだわる性格ではないと思っていたアルシェイラがそんなことを言い出す理由がわからない。
「私は政務とかをしたくないの! クララが上に立ったら私も命令されちゃうじゃない、あくまで私が一番で何もしなくていいって位置が大切なのよ」
思いっきりぶっちゃ
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