暁 〜小説投稿サイト〜
鋼殻のレギオス 勝手に24巻 +α
第四話 INグレンダン(その2)
[11/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
メージが軽いものではない事は明らかで、誰が見ても一目瞭然だ。
 にも関わらず誰一人として倒れ伏したままでいることなく立ち上がり、錬金鋼を構え、ニーナへ向ける。その繰り返しはニーナの剄に翳りが増し、再び守勢を強いられることになる。
『ならば我が主よ、心に鋼を抱け! もはや意志は絶えたか?』
 自身を解放したにもかかわらず未だ揺れるニーナにメルニスクが吼える。
『そんなつもりはない。だが、なぜ戦わないといけないんだ?!』
 悲痛なニーナの思いに返るのは非情の論理。
『理由など無い!』
『なっ!!』
 メルニスクの断じる調子に思わず唖然としてしまう。
真実(まこと)世界の守護者たらんとするならば迷うことは出来ぬ、躊躇うことなど出来ぬ。誰であろうと、たとえ相手が親・兄弟・恋人であろうとも道を遮るならば倒さねばならぬ。それが主が選びし道故に』
 その言葉にニーナに衝撃が走る。それはメルニスクの言葉そのものだけでなく、今まで考え付かなかった可能性に思い至ったからだ。だがそれを誰に問うたところで答えは返らないことも理解している。
 故にいま行うべきはただ一つ、己の決意を示し、道を開くことだ。
『済まない、頼む』
『承知』
 揺らいでいた黄金の剄が確固たる流れを作り出す。先程までの緩んだ剄とは一線を画し、剄の波動が相手を威圧し空間を制圧せんとばかりに放たれる。



 途中から二人の姉を連れて離れた弟を除いた全員が地に伏せるまでそれ程の時間はかからなかった。皆が懸命にもがくが地面を掻くに留まり、立ち上がれる者はいない。
 それを見るニーナに先程のような苦悩の色は無い。手加減なく思い切り打ちのめしたという実感があるからだ。そして地面に倒れ伏した父、アンドレイの元に歩み寄る。
「父上、まだ続けねばなりませんか?」
「何の事だ?」
「私の覚悟、が知りたかったのではありませんか。如何なる者が敵に回ろうとも道を貫けるか、と」
 それがメルニスクに気付かされた事だ。もし彼らが本当に世界を壊そうと、自分を殺すつもりならもっと他にやりようがあった。戦意はあれど殺意は無い、という事はそれが理由だろう。
「そうだ、世界の守護者たる道を選ぶならば情に負けることは許されぬ。その業を背負う覚悟が無いのなら今果てるも同じ、もし偽りの覚悟しか持たぬのであればそれを摘むのは事も我らの責だろう」
 父から明かされたのは予想と殆ど変わらない事だった。
「改めて問うておくぞ。お前にそれだけの覚悟はあるか?」
 黙り込むニーナ、それを皆が注視している。それはアントーク家の、世界の先行きに対する重大な答えとなるからだ。
「私には……わかりません。ある、と言いたいのですが……」
 ニーナ自身誰が相手であれ貫けると思っていた。多大な恩のある先輩のディック相手を
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ