第20話<形勢逆転>
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いのか? いや日向の脚力が強いのだろう。
深海棲艦は後ろ向きのまま路地の木箱やゴミ箱を蹴散らしていく。
ゴン! ……という頭を打ったような鈍い音がした。
「ぎゃあ!」
深海棲艦は叫ぶと同時に拳銃を放り出した。
「これは痛そうだ」
寛代を抱いたまま私は呟く。
日向は、ひるまずに倒れている深海棲艦に駆け寄る。直ぐに上段から刀を振り下ろした。
「日向!」
私が叫んだ次の瞬間に勝負はついた。
刀を振り下ろした姿勢のままで日向は静止している。深海棲艦は、そのままズルズルと地面に横たわった。
「ふうっ」
日向は一息つくと刀で一瞬、空を切った。直ぐに祈るような格好をして刀を鞘に納めた。
彼女は背中を私に向けたまま言った。
「申し訳ございません司令……靖国へ往きそびれました」
そして日向は振り返ると汗をぬぐって微笑んだ。
「ちょっと本気を出しました」
私は何かを言いかけたが彼女は直ぐに付け加えた。
「ご安心下さい。みね打ちです」
私は安堵した。敵とはいえ無益な殺生……特に深海棲艦(大井・仮)には避けて欲しかったのだ。
「相変わらずだな、お前は」
私が声をかけると彼女は恥ずかしそうな表情をした。その反応も昔のままだ。
直ぐに夕立が肩を押さえながら駆け寄ってきた。
「寛代ちゃん!」
「……」
日向も無言で寛代を見詰める。私には何も言えなかった。
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