第45話 説教
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ことが矛盾していて、俺が手をすっと放したところですぐに彼女は穂乃果の後ろに逃げていった。まるで年上お姉さんに懐いた幼子のように。
「助けて穂乃果ちゃん!」
「んぇ?あーでも、穂乃果もどうやって逃げたのか気になるかなぁー」
しかし、ここで穂乃果にまでそう言われるとは予想外だったのか、すっと顔色を青くして他のメンバーに助けを求める。が、やはり気になるのメンバーばかりで諦めがついたことりは、がっくり肩を落とした。
「う〜これ言ったら絶対怒られるのに〜」
「まぁケガが無かっただけでも良かったんじゃないかしら?」
「そ、そうだけど……そんな堂々と言えないよー。私の部屋からロープ垂らして真姫ちゃんと海未ちゃんは逃げ、私がそのロープで降りようとしたら切れちゃって。丁度二階の屋根から飛び降りただなんて……」
―――二階の屋根から飛び降りた
その言葉の意味が脳に浸透するまでにたっぷり数秒はかかった。
そして、理解し終えた先に待ち構えていたのは。
「はぁ〜っ!?飛び降りたって、はぁぁっ!!??」
「ふぇ〜ん!だから言いたくなかったのにぃ〜!」
あまりの危険なことりの行動に俺達は先の言葉を失う。
「や、あの。ケガとかは大丈夫なの?相当な高さだったと思うんだけど」
「うん、怪我は全くしてないの。でも、お気に入りの服がぁ……」
花陽の心配にことりは背を向けて服の被害状況をお知らせする。真っ白のプルパーカーに大きく縦長に敗れているのだ。
そう、俺がさっきことりの背中を見てあることに気が付いたというのは、まさにこのことである。誰も彼女の背中を見る機会が無かったので気付きやしなかったが、あまりの大きな破れにぎょっとしたのだ。
おかげで何をして破れたのか理解できた。
ことりの部屋の机が引きずられた跡があったのか。それは机の脚にロープを括りつけて、彼女ら三人の重さに耐えられなくなった結果だろう。
何故あの時開いた窓の先を覗かなかったのか、その時の俺しか知る由もないが、つまりはそういう事だろう。
「それで窓の下の木に引っかかって……枝でビリリッ!って」
「それは運があったからその程度で済んだのよ。そういう危ないことは控えて欲しいわ」
「……ごめんなさい」
なぜあんなぶっとんだことをしたのか、彼女だけでなく、真姫や海未にも反省してほしい。けど同時にそこまで追いつめていたのか、と考えると俺たちも深く説教する気にもなれずに、ぐすぐすと泣くことりを前に、ただ黙って見ているしかできなかった。
〜☆〜
「気を取り直し
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