第2章 魔女のオペレッタ 2024/08
エピローグU:再会への序章
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である。
それは一人の夫が、罪を悔い、贖罪を重ねながら牢獄の中で葛藤する物語。
終わりなき暗闇を抜けて、どこかの病室の一室で亡くした筈の妻と再会する物語。
その結末にて、彼は事実と向き合わなければならない。
妻が真実を知っていたら、その向けられる感情を受け止める覚悟をしなければならないだろう。
妻が真実を知らなかったら、彼は誠実に告白するか、その一切を胸中に秘めて生きねばならぬだろう。
だが、ピニオラには二つの確信があった。
SAOから解放されたグリムロックは、必ずや不誠実な嘘で誤魔化さないだろう、と。
その物語の幕引きは、決して絶望的なかたちにはならないだろう、と。
あまりにも確実性に欠ける確信だ。まだ見たことのない誰かを楽観視する危険な見通しだ。
それでも、ピニオラはこれから始まる物語に悲観的なエピソードを持ち込まない。
その最後の終止符は幸福であらねばならないと、半ば決めつける強い意志に浮かされているようで、その全てを必然として他者を殺めた《柩の魔女》とは対極的な在り方へと、ピニオラは自分で気づかないままに至っていた。
どうか、この主要人物たちに良きエンディングが訪れるように。
我ながら奇妙なものだと苦笑を零しながら、なんとも言えないくすぐったさを愛おしそうに抱きながら、そっとベッドの上に寝転がった。
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