生酒について学ぶ
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体が僅かに発泡しているように見えるが……はて。
「少し利いてみてもいいか?」
「えぇ、元々提督さんと3人で呑もうと思ってましたから♪」
鹿島からの許しも得たので遠慮なく蓋を開け、猪口に注ぐ。匂いはかなり甘い……メロンに近いような吟醸香が近いか。どれ、味は……おっ!
「もしかして、こりゃ“生酒”か?」
「流石提督さん、大当たりです!」
また生酒とは貴重なモンを……。管理も難しいってのに。あぁ、読者の中には『何のこっちゃ?』って人もいるよな。生酒ってのはいわゆる日本酒のカテゴリの中の1つだ。いい機会だし、今回はその辺の話をするとしよう。かなり説明臭い話になると思うんで、嫌いな人はすっ飛ばしてくれ。
そもそも日本酒ってのはとてつもなくデリケートな酒だ。管理の仕方や加工の仕方の違いで名前がコロコロ変わる。生酒、火入れ、生詰、本生、生々、生貯蔵、冷やおろし……素人じゃあ解んねぇよな。その辺ザックリと解説してみたいと思う。
《生酒とは?》
生酒(なまざけ・又はきざけ)とは、読んで字の如く生の酒。製造から店に並ぶまで一切の加熱処理(火入れ)をしていない酒だ。酒の中の酵母が生きていて、保存には細心の注意が必要となる。何せ腐りやすいからな。本生、生々という呼び方もされたりする。
《日本酒の加熱処理(火入れ)について》
日本酒は通常、2回の加熱処理を経てから出荷される。日本酒は火入れを施さないと貯蔵中に乳酸菌の1種である火落ち菌にやられてしまい、白濁して腐造……つまりは腐っちまう。安定した製品作りには欠かせねぇ火入れだが、その分搾り立ての美味しさや芳醇な香りが犠牲になっちまう。まぁ、流通の都合上どうしても防げないコラテラルダメージって奴だな。そんな中、一度も火入れをせずに出荷されるのが生酒だ。出来立てでフルーティーな味わいを楽しむ事が出来る反面、扱いがとてもデリケートで安定した流通と保存が難しい。ほとんどが地元で消費される『幻の酒』だ。
《しぼりたて新酒も実は生酒!》
毎年新酒の出来上がる11〜3月に売り出される『しぼりたて新酒』。これも火入れはされずに出荷される為、ある意味では生酒と言える。ただし、一般的に言われている生酒のように熟成はされていない為、深みやコクはあまりない。しかし新酒ならではの爽やかさが味わえる為、こちらの方が好きだという人も多い。
《『生』と付く日本酒の種類》
さて、ここまでちゃんと読んでくれた読者諸兄なら気付いただろう。生酒以外にも『生』という字が入った酒が何種類かあったのを。生詰と生貯蔵だ。この2つは生酒とどう違うのか?その答えは日本酒の製造工程と先程も出てきた『火入れ』のタイミングにある。お次はその辺を解説してみたいと思う。
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