第19話<彷徨う艦>
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に果たして何が出来るだろうか?
私の苦悶を見透かすかのように深海棲艦は笑った。
「フッ苦シメ、悩め」
反論できない自分が歯がゆい。
しかし彼女の雰囲気が突然変わった。改めて見上げると深海棲艦は、いつも以上に険しい表情になっていた。
「ダガ、お前に残サレタ時間は、モウナイ」
そいて彼女は私たちに再び銃を向けた。相手に銃を向けられて改めて、私は自分が銃を放り出していたことに気づいた。
「バカめ。小娘ナド無視シテ私を狙エバ良カッタノだ」
「フン。お前如きに諭されたくない」
口先だけだが私は最後の抵抗をした。もちろん今さら降伏するつもりは無い。こいつだって私を助けるつもりは全く無い。
だから、せめて私を守ってくれた、この子と一緒に死のう。もし寛代が最終的に深海へ逝ってしまうとしても、それがせめてもの償いであり軍人としての誇りだ。
私は寛代を庇うように深海棲艦に背を向けた。軍人としては寛代を放り出して敵とと撃ち合い一矢報いるべきだったか?
「やっぱり、私は詰めが甘い」
思わず苦笑した。
だが無情な台詞が背後から響く。
「サラバダ」
「そうか、これで最期か」
私は再び寛代を抱き寄せると観念して目を閉じた。この子が居るからだろうか? 不思議と恐怖心は無かった。
『ここで死んだら寛代と一緒に靖国へ往けるだろうか? 日向や夕立は無事だろうか?』
そんなことを考えた。
だが突然、私の想いはガガガという激しい金属音に遮られた。それは深海棲艦の背後……あの戦車らしい兵器から聞えてきた。
「なに?」
機銃の音ではない、この音は……
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