第16話『乱刃の華姫〜届かぬ流星への想い』
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盗の連中の処遇を、どうするのかと。
「捕らえたこいつらは、村人へ引き渡す分」
「引き渡してどうするんだ?」
「助命する代わりに村で働いてもらう」
――あいつらを質に見立てる気か?
「村人たちは受け入れてくれるのか?」
「それが条件で、今回の夜盗駆除を請け負っているの。ムオジネルの奴隷制度より、いくつかましだと思うけどね」
「……まあ、確かに」
ムオジネル王国。その存在と国力、国風については、リムからいくつか教えてもらっていた。
かつて、治水を巡る軍事解決、ディナントの戦いで敗戦国となったブリューヌ。最後までしんがりを務めていたティグルは、奮戦空しく、敵国ジスタートの戦姫、エレンの捕虜となってしまう。
もし、身代金未払いのままだったら、「アルサスの領主」の立場を貫くティグルは、ムオジネルへ売られていただろう。
リムが、そう話していた。マスハス卿も「捕虜の結末はたいてい奴隷として売られるのがオチ」と――
一末を聞いて、凱は胸をなでおろした。
折り合いがついているなら、これ以上聞く必要もないし、干渉するつもりはなかった。
何はともあれ、成果を上げたフィグネリアは報酬をもらうべく、村を訪れた。※11
無論、夜盗という荷物運びとして、凱も同行させられた。
◇◇◇◇◇
夜だった。あれだけのことがあったというのに、今頃は朝になっていると思っていた。
しかし、朝は一向に訪れない。そんな当たり前のことに、凱の憂鬱は晴れない。
二人は事を済ませたあと、来た道を引き返していた。村から通道へ出るには、一本道しかない。勇者と傭兵はしばし同行の延長となった。
「夜の『帳』が、泣いてる」
さらさらと、木葉をこすらせる風が、聞くものの心を不安にさせる。
しばらく歩を進めた後、沈黙を破ったのはフィグネリアだった。
「……私ね……小さいころ、……どういうわけか、『夜』と『闇』が苦手だった」
今となっては、流星を見るのが待ち遠しいと思っている。
夜は星空が自分を覗いてくれるから。
『流星』によって怖さを除いてくれた。
でも――『闇』は……どうだろうか?
そして、二人は無意識に『月』を見上げる。
「……『あの人』は、いつも私の先を行って、『流星』のように『闇』を切り進んで……みんなの『先導者』として……」
彼女の言うこと、具体的なことはよくわからなかったが、凱は「そっか」とつぶやいた。
「もう一度聞くけどさ、あんた、やっぱり人を殺す気がないの?」
脳裏によみがえる、『星』の記憶。
今一度問うてみる。今、この『不殺』も、実はヴィッサリオンの真似事をしているだけなのだろうか?
それとも、ガイにた
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