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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第16話『乱刃の華姫〜届かぬ流星への想い』
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いたんだったら、聞いたことがあると思うけど?」

これに関しては、どうこたえるべきか凱は悩んだ。だが、逡巡したと思われては目を付けられるかもしれない。
言えない。もしかしたら、彼女はどっち側の『星』なのかわからない。
確か、傭兵と言っていたな。
『白星』につくか『黒星』に駆け付けるか――そういった考えが、どうも先走ってしまう。

「すまない。俺もそこまではわからないんだ」

落胆したような表情だった。だが、彼女の質問はこれで終わらない。

「そう……それと、さっそく弁償なんだけど?」
「弁償?」
「今日の稼ぎがあんたのせいで台無しになったんだ。弁償だよ。弁償」

なんだその手は――と思いつつ、凱はしぶしぶ懐から財布を差し出す。

「俺の有り金を渡すから、それで勘弁してくれ」

早速フィグネリアは確認のために金貨を指ではじいていく。
金勘定の手つきはなかなかのものだ。職人の域に達している。

「ひいふうみい……あんた貧乏欠だったのか。そんな服と首飾りしているのに」

何か凱を値踏みするような視線でフィグネリアはじろじろと観察する。対する凱はなんだか気が気じゃなくなってきた。
何か穴埋めになりそうなのが――凱の身なりを見て、フィグネリアはこう閃いた。

「分かった。こうしよう。あんたの身包み全部はぐ。それで手を打とうじゃないか」
「俺に裸でレグニーツァを一周しろっていうのか!?それだけは勘弁してくれ!」

守備力0でこの地を歩けるわけないだろうに。それにしても、どうして俺の服をはぐんだ?その疑問は即座に彼女の口からこたえられる。

「だってあんたの服は高く売れそうだからね。どうやら見たことのない素材でできているみたいだし……」

――確かに、この服装の素材はここじゃ見ないしな。
独立交易都市でティナが買ってくれたものが、そんなに珍しく見えるのか?その気持ちはわからなくもないが――

「まあ、その冗談はさておいて」

冗談だったのか。よかった。
そして、黒髪の彼女は別のほうへ興味を移す。

「じゃあ、その『布に包んでいるもの』でまけてやるよ。わかった?」
「だめだ!これは俺の大事な愛剣であって!……」
「あの夜盗の連中だって、私の大事な『稼ぎ』だったんだ!弁償しろ!弁償!」

すちゃりと、女傭兵は腰に帯びていた二つの刃をガイに差し向ける。身の危険を感じたガイは、目の前の『猛禽類』をなだめようと努力する。

「分かった!分かったから!その『双刃』を抑えてくれ!」
「どうやって弁償する気?」
「あてはあるさ」

凱は自分が倒した夜盗について振り返る。

「おそらく、あの手の夜盗は近場に拠点を構えている。『巣窟』の連中を掃討すれば、先ほどより稼ぎはいいはずだ」

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