第16話『乱刃の華姫〜届かぬ流星への想い』
[4/18]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ここを離れるつもりだった」
「どこへ向かうんだ?」
「ブリューヌ」
「ブリューヌ?今あそこはどういう情勢なのか、君は知っているのか?」
オウム返しのように聞き返した凱の表情は、わずかながらも目を開かせている。
「噂で聞いた程度ではね。今、一部の貴族様が反乱活動を起こして王政府が倒れそうだって」
王政府が倒れようとしている。噂で聞いた程度が真実だと知ったら、フィグネリアはどうするのだろうか?
リムやマスハスから聞きしたことを凱は一つずつ思い出す。
ビルクレーヌでの戦い。そこで一閃交えた二つの『星』――
すなわち――
『銀の流星軍―シルヴミーティオ』
――――― 対 ――――――
『銀の逆星軍―シルヴリーティオ』
もともとは『テナルディエ軍』だけという統一呼称に過ぎなかったが、ガヌロン勢力が加わったことで、ブリューヌには文字通り最恐最悪の『凶星』……『銀の逆星軍』誕生となった。
この二大貴族は険悪極まりないと噂されており、いずれはこの二大侯爵のブリューヌ決戦が行われると思われていた。しかし、テナルディエとガヌロン、二人の思惑はそんな『世論』など軽く跳ね返す。
――喜ぶがいい!今こそ『逆星』が真の自由と平和を与えよう!――
――いかに弱者が『流星』に願おうと!決して手に入らぬ『平和』をな!――
決して揺らぐことのない公約宣言。眠り続けた獅子たちを目覚めさせるには、十分な『重低音の咆哮』だった。
そして始まる一斉蜂起。強者でありながら、弱者に妬まれ続けた者たちの猛り。
彼らは立ち上がる。惰弱と化した『伝統』を、盤石たる『維新』にて焼き払うため――
国民国家革命軍―ネイションスティート。
その国民を導くとして、テナルディエは反逆を決意。ついに侯爵を捨て、『逆星の魔王』となる。
同時に、ガヌロンもまた、魔王の命を受ける『逆星の勇者』となった。
銀の流星軍敗北後、討伐の任を受けたナヴァール騎士団は、その『ジュウ』という兵器の前に壊滅した。
騎士団長ロラン。副団長オリヴィエは生死不明――
彼らの支配下に置かれたブリューヌ国民は、今でも奴隷のような扱いを受けているだろう。
そういった事実が、凱をより一層憤らせる。
あえて聞き手に回る凱は、彼女のことを知ろうと徹底した。そして事実の一部を語る。
「俺も少し前はブリューヌにいた。君が聞いた通り、内乱激化に伴って、ほとんどの辺境民は他国へ流れている」
「やっぱり、本当だったんだ。ブリューヌ王政が倒れようとしているって……ところでさ……」
そこから、フィグネリアは真剣な表情――険しさを超えた鋭さで凱に質問した。
「あんた、『│銀の流星軍≪シルヴミーティオ≫』という義勇軍が、どうなったのか知ってる?ブリューヌに
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ