第16話『乱刃の華姫〜届かぬ流星への想い』
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銀髪の男を遮るように、凱の瞳はそいつを見据える。
「今の俺は、『目の前に映るすべての人々』を救えれば、『勇者』であればそれでいい。代理契約戦争の……『獅子王』の強さ……それは当の昔に捨てたんだ!」
紅い髪の勇者。セシリー=キャンベルの想いを受け継いで、俺はここに立っている。
凱は自分の信念を、目の前の男に叩きつけた。
「だとすればガイ……今のお前は、『勇者』ですら失格だ」
「なんだと!?」
「理由は二つある」
シーグフリードは指を伸ばして順番に折る。その仕草に、凱はかの好敵手、『銀閃の不死鳥―ソルダート=ジェイ』の姿を見た。
「一つ。ヴィッサリオンと同じ『不殺』などという、甘っちょろい自己満足の正義、欺瞞、愉悦……故の弱さ」
(……弱い?ガイが?)
やはり、シーグフリードも知っていたか。ヴィッサリオンが独立交易都市出身だというのが――
「二つ。一度目に映ったもの……アルサスの連中は見事に敵の手中に捕まった。お前が『幻想』にうつつを抜かしている間にな」※15
瞬間――凱の胸の内に、激しい炎沸き返るのを感じた。
「シーグフリード……俺を侮辱するのは大いに結構だが……」
次のセリフは、まるでフィーネの心情を代弁するかのようだった。
当たり前だ。彼女にとっても、凱にとっても、記憶に残ろる『星』の人だから――
「ヴィッサリオンを『けなした』ことだけは絶対に許さない!」
「そして三つ目の理由だ。今のお前では、俺には絶対に勝てない」
『黒炎』に殺気が宿る――
「そういえば……そこの女は誰だ?」
ふいに、シーグフリードの視線がフィーネに移る。
整った曲線。女性としては美女の類に入るだろうが――シーグフリードには全く興味がない。
彼は、『そういう身体じゃない』からだ。
「まあいい。愛人を連れてくるなんざ、やはりお前……色ボケしたのか……寝ボケたままなのか」
「愛人じゃない!」
そこはきっぱり否定するフィーネ。だが、緊張の糸は依然として切れないままだ。
「そういうあんたこそ、愛人を連れてるじゃないか」
フィーネは侮蔑の視線を、銀髪の男に向ける。
だが……『それ』は愛人じゃない――
「こいつは俺の『愛剣』でな。これから『一閃』交えるのに必要で連れてきたんだよ」
「……」
「フィーネ。君には信じられないと思うが、本当に彼女……エヴァドニは「剣」なんだ」
剣。それも『神を殺せる剣』――『聖と魔の覇剣――神剣』に。
本当に意味が分からない。でも、凱がそういうなら、本当のことなんだろう。
凱が嘘をつくとは思えない。
「とんだ男だよ。あんたは」
「あいにく俺は『男でも女でもない』――」
フィーネの『嫌味』を
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