第16話『乱刃の華姫〜届かぬ流星への想い』
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「バーバ=ヤガーの神殿……私も小さいころ、よく御伽話で聞かせてもらってたから、なんとなく知ってる。だけど、こんなところであんたは何をする気なの?」
「俺もわからない。ただ、『アリファール』がここへ行きたいと言ってきてるんだ」
『隼』の瞳が、アリファールの紅い『瞳』へ移る。
「竜具に意志があるのは本当なんだね」
「俺も驚いたさ―――――――待った!フィーネ!」
突如、凱の態度が豹変する!その表情に余裕などなく、険しい。その一言に尽きた。
勇者のまとう『陽風』が……『血風』へ変わる。その光景に、フィーネは思わず固唾をのむ。
夜よりもなお深き闇。そこに一人の『男』が座っている。
――エレン?
銀よりも銀閃の光。星屑の光を跳ね返す彼女の『銀髪』は、見るものを魅了させる。
対して、この男はどうだろうか?
同じ銀髪。しかし、エレンのものとは対極に位置するよな――
うまく言えないが、剣閃の光を跳ね返す――『見るもの全てを切り刻む』悪鬼のような銀髪だ。
「なぜ、お前がそこにいるんだ!?」
面を食らったようは表情で、凱はいう。その整った顔立ちに、うっすらと冷や汗が浮き出ている。
「あの女狐。適当なことほざきやがって――まあいいさ。「試す」にはちょうどいいか」
「知り合いなの?……ガイ?」
凱は何も答えない。その落ち着きが、すでに凱にはないからだ。
「第二次代理契約戦争(セカンド・ヴァルバニル)の戦犯……シーグフリード=ハウスマン!」
覚えていてもらった事への返事なのか、、シーグフリードと呼ばれた男は鋭く笑みを浮かべる。
「久しいな。シシオウ=ガイ」
そして、代理契約戦争という単語。フィーネはそれにも聞き覚えがあった。
「代理……契約戦争?」
傭兵の最盛期、ヴィッサリオンからその戦争を聞いたことがあった。
その時だけだった――あの太陽のように明るい彼が、まるで『悪魔』に取りつかれたかのような表情になって。
「貴様はかつて『悪魔』……『魔物』……『竜』を屠り続けた最強の獣の……『王』」
「王?ガイが?」
獣の王――それすなわち――百獣の王――『獅子王』
百獣の王の立つ大地には、『数多の躯』が広がっている――
百獣の王の瞳見る天空は、『夜よりなお深き闇』が包み込む――
「実力のほうも鈍っているようだが、おつむのほうもかなり鈍っていやがる。大陸最強の『獅子王』が、人を食らわないで、どうして人を守ることができようか?」
――『深淵』へいざなうような口調で、銀髪の男はこう語る。
「第二次代理契約戦争……『牙』が抜け落ちるには、早い時間とでもいうべきか?それとも――」
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