第16話『乱刃の華姫〜届かぬ流星への想い』
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』なのか?
黒い衣装。黒い髪。たどり着いた『丘』がここだなんて……
届かぬ――流星への想い。
ああ、結局私の『願い』は……『流星』に届かなかったか――
彼女の意識が、あの谷底と同じように落ちようとしたその時……
「うおおおおおおおおおおおおお!!」
聞こえてくるのは、『獅子』のごとき――咆哮。
にも拘わらず、『隼』のごとき――急襲。
獅子王凱が、崖から飛び降りていた。
それは猛禽類のような『狩り』ではなく、一つの『ねがい星』を拾う為の『駆り』だった。
流星――別の名は『散りゆく星』
最期の『夢』に焼かれながら堕ちていく――
届かない叫びが、散る華のように似て――
勇者は切に祈る。いまここでこの『姫』の命を散らせてしまうのはだめだと!
銀閃の勇者・シルヴレイヴの名に懸けて――絶対に!
(……彼女の『星』は……こんなところで散らせるわけには……いかない!)
自分の意志の強さこそが、自分の願いを叶えるもの。それを教えるための願い星――流星なのだから。
やがて、凱の腕に抱かれ、助けられ、安心感からか、意識を徐々に閉ざしていく。
(……まだ……諦めない……)
壁を蹴り、流星のように駆け上がりながら、凱に運ばれていく中でもフィグネリアは確信した。『流星の輝きはまだ潰えていない』と―
エレンは生きている。リムも一緒に、ともした星の輝きを、照らしあいながら――
きっと――きっと――
◇◇◇◇◇
「う……ん?」
「気が付いたか?」
「わ……たしは……一体?」
夕日の下がり具合から見て、自分は1刻ほど眠りこけていたのだろうか?
優しい声で、凱は沈黙を破る。
「俺は分け合って一人で行動している。『銀の流星軍』の行方を知りたかったら、ついてくるか?」
「教えては……くれないの?」
「今時代は大きく動こうとしている。だからこそ、君自身で『見て』、『聞いて』、それから『考える』がいいと思う。その手に、心にもつ『双刃』の意味も含めてね」
ふいにフィグネリアは、腰に帯びている双剣に目をやる。
誰にも頼ることなく、自分の力にしか、その願をかけられなかった日々。しかし、今となっては、それさえもうまく思い出せなくなっている。
そう――凱の『時代は大きく動こうとしている』という言葉。つまり――
『流星』か。
『逆星』か。
混迷たる時代は、どちらかに塗り替えられ
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