第16話『乱刃の華姫〜届かぬ流星への想い』
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た。まるで、『隼』が『風切』を幾重にも広げて飛翔するように――
「輪廻遊びはこれで終いだ」
どこにも行けず、埒のあかない――そんな輪廻、回廊の繰り返し。
――追ってこれないところへ逃げ切れば、もう追いかけられることもない。
もう、『誰も』追ってこれない絶壁の崖。彼女にとって、それは絶望だった。
目測……20アルシンも広がる虚無の領域。
成すすべもなく、立ち尽くすばかりのフィグネリア。彼女の苦悶の表情を見つめる凱の心情は複雑だ。
「うそ……あいつ、この崖をどうやって?」
隼に一瞥を加えた獅子は、複雑な心情を抱いたまま、背を向けて去ろうとしてた。
「このまま……いかせない!」
フィグネリアはマントの中から飛びナイフを数本投擲する。しかし――※14
「――アリファール」
呪文のようなつぶやきとともに、凱の『獲物』は風を吹き散らす。
折りたたんでいた翼を模した鍔を広げ、凱は銀閃を抜き放つ!
解き放たれた風圧が、凱のまとう空気を払拭する!
瞬間、投擲されたナイフが、凱のわずか数チェートで失速し、空しく大地へ落ちる。
カランと音がして、フィグネリアは我に返る。
「あれは!?」
その剣は――あの子と同じ
いや、あの子は、銀閃に選ばれて、戦姫になった。
国を手に入れて、ヴィッサリオンの『夢の続き』を、その銀閃で綴って――
――ヴィッサリオンが大事にしていたあの子は、戦姫になったんだね――
そして、あいつの腰に据えられている剣――
間違いない。否、あのような『宝具』は、この世にて二つとないはず――
あんた、エレンを知ってるんでしょ?
その問いに、あいつは返事をしない。
なぜなら、エレンがどうなったか、すでに知っているから?
知っているから、教えたくなかった。
知りたがっていた自分自身に苛立ち、あきれて、情けなくて、馬鹿みたいと思えてしまう。
何より、『あの男』の何から何もが気に食わなかった。
ヴィッサリオンみたいなことを言ってくれて――
ヴィッサリオンみたいに人を殺さないで――
「もう、これ以上はやめろ!フィグネリア!」
「ガイ?」
「その表情と態度を見る限り、こいつが……アリファールが何かを知ってるみたいだな。なら――」
「ここに『銀閃』がある以上、もうエレンがどうなったか、察しているんじゃないのか?」
「君とエレンの関係に何があったかは知らないが――」
凱は静かにアリファールの刃を鞘に納める。
すちゃり。その納刀音が、フィグネリアの意識を現実に戻す。
「過ぎ去った時間は戻れぬ『過去』だと割り切ったほうがいい。そのほうが君の為だ」
卯都木命――天海護――凱は二人の顔を思い浮か
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