第16話『乱刃の華姫〜届かぬ流星への想い』
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るようになった――
『乱刃のフィーネ』として――
彼を、『│銀閃の勇者《シルヴレイヴ》』を斬り捨てたあの時に、『首の数を競い合う』稼業から、身を引こうと決めた――決めたはずなのに――
フィーネ。すでに己の終曲……たどり着く丘を見失ったまま、さまよう自分にこの異名はあまりにも皮肉と言える。
終曲に無慈悲な女性たち。『夜』と『闇』と『死』の女神、ティ=ル=ナファが私に付きまとっているのだろうか?
結局、自分はヴィッサリオンの何を見ていたのだろう?
美しく眩しい『流星』のような彼の夢――相手の、『流星』の眩しい部分だけを見て、彼の一面を知って気になっていただけなのか?
それなら……自分は?私は?
止まり木を見つけられず、虚空にて翼ただよう『隼』の記憶は――ここで途絶える。
『乱刃の華姫〜届かぬ流星への想い』
【現代・深夜・レグニーツァ領内・山奥】
月夜の満月が見守る中、夜盗と青年が対峙していた。
その青年の名は、獅子王凱。
一人の女性をかばうように躍り出て、鋭く告げる。
「女性一人に大の男が複数だなんて、卑怯じゃないか!」
「誰だ!?てめぇは!?」「構わねえ!この男も殺っちまえ!」
飛び交うは、野盗たちの怒号の声!
幾重にも張り巡る剣閃の数々。それらが夜盗の連中が、凱一人めがけて繰り出される。
大太り傭兵の大斧が――
偉丈夫戦士の大剣が――
さらには、ニヒルな槍闘士の長槍が――
だが、それらの武骨な刃物は凱に決して当たることはなかった。
ひらり。
ひらり。
さっ。
さっ。
「なんだこいつは!?ぐは!」
「まるで……『風』みてぇだ!ごほ!」
次々と繰り出される斬撃の嵐。風のようにつかみどころのない凱の回避術に、夜盗の連中は苛立ちを募らせていった。
結局――
蹴りと拳と腕力……加えて『布にくるまった得物』だけで倒してしまった。
大地でごろんと伸びてる夜盗たちを見て、『女』は「はあぁ」とため息をついた――
一通り始末をつけた凱は、囲まれていた(であろう)女性に声をかける。
「大丈夫だったか?」
「まったく……段取りが滅茶苦茶だ」
「段取り?」
「ここの夜盗討伐を村人たちに依頼されていたんだ」
「あ……」
間の抜けた声を出して、即座に凱の頭が対応してこの状況を把握する。
速い話、凱の早とちりだった。
無理もない。GGGの基準に照らし合わせた状況の認識だ。何より、一対多数は誰であろうと見過ごすことは、凱にはできなかった。
しばらく、女性はノビた男どもを一瞥して――
「――とはいえ、無抵抗な奴の首を取るなんて、寝
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