ターン72 冥府の姫と変幻忍者
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ダメージいったー!……もう、いいじゃないそんな怖い顔しなくっても!お姉ちゃんに可愛い可愛い妹の応援ぐらいさせてってば!」
「私はカードを1枚伏せて、ターンエンドですっ!」
普段では絶対見ることのできないであろうムキになって怒る葵というレアな絵面に、夢想の口元にも自然と笑みが浮かぶ。だが幸か不幸か、姉の方を向いていた彼女には気づかれなかったようだ。
「ふふっ、私のターン、ドロー。私はダークソウル・トークンをリリースして、アドバンス召喚するって。出でよ、龍骨鬼!」
龍骨鬼 攻2400
無数の人骨を組み合わせてできた骨の鬼。その巨体が一歩を踏み出すと、体を構成する骨がべき履きと割れる不気味な音が鳴り響いた。だがそんなことにもおかまいなしに鬼が上半身を大きくのけぞらせ、次の瞬間その口から火炎弾を吐き出した。
「バトル。龍骨鬼でシンゲツに攻撃、ってさ」
当然、その狙いはシンゲツ。というよりも、シンゲツ自身の効果により他の忍者への攻撃が不可能となっているこの状況では、シンゲツを狙うしかない。もっとも、彼女にとっても他のモンスターを狙うつもりはなかったのだが。
ともあれ、この攻撃が通れば大ダメージが入る。だがそんな攻撃を通すつもりは葵にはないし、正直なところ攻撃を仕掛けた夢想の方もここでダメージが通るとはまるで期待していなかった。彼女がそこまで甘い相手なら、先ほどのターンを凌ぐこともできずこのデュエルにも早々にけりがついていたはずだ。
となれば、恐らくはあの伏せカード。おそらく、あのカードの正体は……。そしてその読みに反応したかのように、にやりと笑った葵が1枚のカードを表にする。
「そんな単調な攻撃、通しませんよ?トラップ発動、忍法 変化の術!」
もはやその目に光もなく、生きることも死ぬこともできずただその場に立っているだけの木偶と化したに思われたシンゲツの体から、いきなり白い煙が立ち上がる。全身がその煙に包まれてもまだかすかに見えるそのシルエットがうごめき、変形し、新たな忍者装束を織り上げてゆく。
「変化の術は忍者1体をコストに、そのレベルプラス3以下のレベルを持つ昆虫、鳥獣、獣族モンスターを特殊召喚します。私はレベル4のシンゲツをコストとし、お出でませ、レベル7……黒竜の忍者!」
煙が晴れた。そこに立っていたのは、漆黒の装束に身を包んだ1人の忍者。だが見よ、その足元を。電灯に照らされ地に伸びたその漆黒の影……その形は、本当に人間の物だろうか?4つ足の獣が、眼前の獲物に飛びかからんと筋肉に静かな力を込めている、そんな形をしていないだろうか?
黒竜の忍者 攻2800
「これからは形勢逆転ですよ、河風先輩。せっかく始めたこのデュエル、どうせならその無双の女王の名前も返上していただ
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