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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン72 冥府の姫と変幻忍者
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と思われるのがオチだ。

「なんで浅漬け持ってくる余裕はあったんですか……まあいいですけど。河風先輩、どうですか?その気分でないなら、無理に始めなくても」
「ううん、いいよ。始めようか、ってさ」

 意外にもしっかりした声でそう微笑むと、若干生気を取り戻した顔でデュエルディスクを起動させる夢想。その回復の早さに驚くと同時に、葵の心にも強敵を前にした高揚感が隠しようもなく湧きあがってくるのを感じた。
 結局、この学校に……デュエルアカデミアに通うことを選んだ時点で、私も河風先輩も、そういう人種なのだろう。なにをさしおいてもデュエルが大好きで、カードに触っていることが何よりも気晴らしになる、そしてそれはいつだって変わらない。

「では河風先輩、手合せ願います」
「うん。それじゃあ、デュエルと洒落込みましょう?だってさ」

 いつの間にか清明から移ったいつもの口癖に少しだけ反応するも、また地雷を踏むのはさすがの葵もごめんなので特に何も言わないことにした。恐らく今のは、本人も完全に無意識で発した言葉なのだろう。

「「デュエル!」」

「先攻は私が頂きます。黄昏の忍者−シンゲツを召喚です」

 どこからともなく吹き込んだ風に数枚の木の葉が渦を描くように舞い、その中心に右腕が2本あるかわり左腕の無い異形の忍者がその2本の右腕で印を結んだ体勢で現れる。

 黄昏の忍者−シンゲツ 攻1500

「あっ!それ、それ私のあげたカード!葵ちゃんずっと使っててくれたんだねお姉ちゃん嬉しいよー!」
「姉上、申し訳ないですが少々静かにしていただけると」
「ちぇー、黙って見学してまーす。えへへ、でも嬉しいな。私のプレゼント、ずっと持っててくれたんだ。えへへー」
「あーねーうーえー?」
「はーい。そんな怖い顔しなくてもわかったわよー」

 どうにか姉を黙らせ、改めてカードに向き直る葵。あの姉の前で当の本人から貰ったカードに先陣を切らせては当然こんな反応になるであろうことに考えが至らなかった数十秒前の自分に心の中で舌打ちするが、気づいていたからといってやることが変わったわけではない。目の前の相手はあの学園最強との呼び声も高い、公式記録全戦全勝を誇る『無双の女王』河風夢想だ。
 それも、あの目を見ればわかる。あれはさっきまでの腑抜けた様子を微塵も感じさせない、相手を倒すことだけを考えた戦士の目だ。いちいち私情を挟んでいては、食らいつくことさえ難しい。

「さらにカードを2枚セットで、ターンエンドです」
「シンゲツだけ出してエンドなんてずいぶん静かだね、ってさ」
「お気遣いなく。河風先輩の強さがどれほどのものかは、私も身に染みてよくわかっていますから」
「じゃあ、私のターンだね、ってさ。私は、ワイトプリンセスを召喚。このカードが
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