ターン72 冥府の姫と変幻忍者
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銀河眼がその腕で器用に刃を構え、そこから伸びた鎖がワイトキングの体を縛り上げる。その独特な攻撃力の算出方法から圧倒的な爆発力を誇るワイトキングも守備力は0、一度表示形式を変えられてはどうにもならない。
銀河眼の光子竜 攻3000→3500
ワイトキング 攻6000→守0
「むっ……」
わずかにむくれる夢想。その表情を見た時、葵は9割がた勝利を確信した。
実を言うとやらせはしない、などともっともらしいことを言ってはみたが、今の鎖付きブーメランは彼女にとってはあくまでただの囮でしかない。夢想の場に唯一伏せられた謎のリバースカード、もしあれが仮にこちらのカードを無効にする何らかのカウンターカードであるならば、何かよほどの理由がない限り鎖付きブーメランを無効にするため発動してきたはずだ。だが、それをしなかった……と、いうことはつまり、あのカードがカウンター系統である可能性は大きく下がった。それどころか、なんならただのブラフである可能性まで出てきたことになる。だとすれば、貪欲な瓶で手札に引き込んだ彼女にとって最後の切り札、ディメンション・ワンダラーの発動を止めることは不可能になる。
そう、ディメンション・ワンダラー……いわゆる手札誘発の1体であり、その効果は場の銀河眼の光子竜が効果によりモンスターを除外した際、手札から捨てることで相手に3000ものダメージを与えるというもの。葵は思う。まさかいくら夢想といえど、あんなギリギリになってから1枚だけ引いたカードがよりにもよってこのモンスターだなんてことは思いもよらないだろう。おそらく彼女は、このまま2体目のワイトキングで追撃をしてくるはずだ。バトルフェイズ開始時に唯一の伏せカードだった鎖付きブーメランは使わせたのだから、あとは銀河眼に効果を使わせてその装備を引きはがさせるために。だがその瞬間、3000の効果ダメージが彼女に降りかかることとなる。わずか500の攻撃力を下げさせるために、敗北という代償を払ってもらおう。万一彼女が何かを警戒して攻撃をしてこなかったとしても、それならそれでこちらから攻撃し除外効果を使えばいい。
「……なら、バトル。もう1体のワイトキングで改めて銀河眼に攻撃、ってさ」
だが、夢想は引かない。ワイトキングが、彼女の予想通り動きだした。とはいえ……さらに彼女は思考を引き絞る。もうひとつだけ、可能性がないわけではない。それは、夢想の伏せカードがカウンターカードではあるが、ピンポイントでモンスター効果だけを無効にする類のものであることだ。それならば鎖付きブーメランに無反応だった理由にもなるし、なおかつ銀河眼か、ディメンション・ワンダラーか……どちらにせよその発動が無効になってしまえば、この最後のチャンスも徒労に終わってしまう。そうなってはもうお手上げだ。
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