18部分:第二話 張三姉妹、太平要術を授かるのことその五
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第二話 張三姉妹、太平要術を授かるのことその五
「短か過ぎない?」
「そうでもないと駄目よ」
「それに今は皆そうよ」
妹二人は長姉にこう言うのである。
「これ位は普通よ」
「そう。もうね」
「そうかしら。お姉ちゃん自信ない」
「もうこうなったら背水の陣よ」
また言う張宝だった。
「そうでしょ?やるしかないのよ」
「行きましょう」
妹二人が引っ張ってである。河原にあった白く大きな一枚岩の上に来た。中央に張角がいて彼女から見て右手に張梁、そして左手に張宝がいる。そのうえで準備に入っていた。
そしてだ。また長姉に言う張梁だった。
「行くわよ、姉さん」
「しっかりしてね」
「しっかりって言っても」
張宝にも言われたがここで、であった。
「無理だよ、そんなの」
「無理だよって」
「何が?」
「だってお姉ちゃん」
ここで泣きそうな顔になって両手を胸の前で拳に組んで言うのだった。
「生まれてこのかたしっかりしたことないのよ。無理だよ」
「無理ってそんな」
「大丈夫」
しかし妹二人はそんな姉に対してまた言う。
「いつも通りしていればいいから」
「それでいいから」
「そうなの。いつも通りなの?」
「そうよ。だからね」
「いくわよ」
こう言ってであった。三人は遂に歌いはじめた。その曲をあの宝貝を使って歌うとであった。
「おっ!?」
「この曲って」
「そうだよな」
「いいよな」
近くを通りかかった町の人々が次々に立ち止まっていく。
「可愛いししかも」
「歌も上手い」
「よくね?」
「っていうか凄いよ」
「しかも三人いるし」
こうして三人の前に集まってきた。そうしてである。
三人が歌い終わると拍手をする。これがはじまりだった。
「えっ、まさか」
「凄いことなったじゃない」
「成功ね」
三人で言い合う。そしてその日のザルの中は。
「凄いわ、姉さん達」
「うわ、今までの稼ぎより上じゃない」
「皆喜んでくれてたし」
張両の言葉に張宝と張角が驚く。その金の額にもだ。
「多いって思ってたけれどこんなにって」
「やったじゃない」
三人共素直に喜んでいる。特に張角はだ。
そしてだ。その中で彼女はこうも言った。
「うう、遂に私達の時代が来たのね」
「ってお姉ちゃんまだよ」
「そうよ、まだよ」
ベッドの自分達の横で涙を流しながら喜ぶ長姉に対して突っ込みを入れる。
「これからはじまりなんだから」
「そうよ、はじまりよ」
「えっ、はじまりなの!?」
それを言われて驚く長姉だった。
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