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提督はBarにいる。
お通し談義・その2
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キを傾けつつしみじみと呟いた。

「そうかぁ?料理好きな奴ならこれくらいはやるだろ、多分」

「自覚症状なし……一番厄介なパターン」

 呆れたように衣笠の隣で首を横に振っている初雪。何だろう、ものすげぇ馬鹿にされてる気分なんだが。

「まぁ、美味しい物がたくさん食べられるからレパートリーが多いのは良いことなんだけどね?」

 とケラケラ笑う衣笠。フォローのつもりか……ってかこいつら相当に酔ってやがるな。

「ほれほれ、これでも食ってそろそろお開きにしとけ」

 俺はそう言って、2人の目の前に茶碗を差し出した。

「何これ?」

「今夜のオススメの〆……『黒胡椒出汁茶漬け』だ」

《ピリッと辛旨!黒胡椒出汁茶漬け》※分量4人前

・ご飯:4杯分

・粗挽き黒胡椒:小さじ1

・出汁:800cc

・酒:大さじ2

・醤油:大さじ1

・塩:小さじ1

・三つ葉:お好みで

 さぁ作るぞ。……と言っても、かける出汁さえ作っちまえばほぼ完成なんだがな。鍋に出汁、酒、醤油を加えてひと煮立ちさせ、塩で味を整える。

 ご飯をよそい、出汁をかけて胡椒を散らしてお好みで三つ葉を乗せてやれば完成。

「よく混ぜてから召し上がれ」

 2人はそれに従い、匙で全体的にかき混ぜてサラサラと流し込むように食べている。具は無い、と言っても過言では無いのだが……

「美味っ!」

「うん……出汁と黒胡椒の刺激が絶妙」

 米の甘味と出汁の旨味、そこにアクセントで胡椒のピリピリ来る刺激。シンプルイズベストってのはこういう事さ。

「あ〜美味しかった!たまには1ヶ所の店だけで飲むのも良いね!」

「そうかい、ありがとよ」

2人は軽い千鳥足になりながらも、満足げな顔で席を立った。そんな後ろ姿を見送りながら明日も来るであろう客の為にお通しを何にするかと思いを巡らせる。そんな夜も悪くないさ。
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