暁 〜小説投稿サイト〜
ドリトル先生と悩める画家
第四幕その六

[8]前話 [2]次話
 それを飲んでです、太田さんは笑顔で言いました。
「美味しいです」
「そうなんだね」
「はい、これを一杯飲みますと」
 ウィンナーコーヒー、それをというのです。
「ぱっと目が覚めます」
「そうなるんだね」
「それで元気が出ます」
「コーヒーの中にはカフェインが入っているからね」
「そのせいで、ですね」
「目が覚めて元気が出るんだよ」
「覚醒作用だよ」 
 先生は紅茶を飲みつつ太田さんにお話しました。
「お茶もそうなんだよね」
「カフェインが入っているから」
「そう、僕もお茶を飲んでね」
「目を覚ましてるんですね」
「そうした意味でもよく飲んでるよ」
 お茶をというのです。
「そうしているんだ」
「そうですか」
「味も好きだけれどね」
「そうした意味でも好きなんですね」
「そうだよ」
「僕もです、コーヒーを飲んで」
 そしてというのでした。
「また描きます」
「絵をだね」
「そうします」
「今日もそうするんだね」
「はい、確かにスランプですが」
 それでもと言う太田さんでした。
「僕は描きます」
「これまで通りだね」
「スランプだからこそですかね」
「描くんだね」
「そうした気持ちもあります」
「太田君は前向きだね」
 先生は太田さんのその気質を知って言うのでした。
「その前向きさは素晴らしいよ」
「そうですか」
「うん、スランプだとね」
 先生はよく言われることを思い出してこうも言いました。
「塞ぎ込んで何もしたくないっていう人もいるらしいから」
「はい、よくあるお話ですね」
「けれど君は違うんだね」
「確かに苦しいですし描きたくないって思ったりもします」
 太田さんは自分の気持ちを正直にお話しました。
「ですが」
「それでもだね」
「はい、そうした時にこそです」
「描く様にだね」
「そうしています」
「その前向きさがね」
 先生は太田さんにまた言いました。
「いいんだよ」
「そうですか」
「そう、それだけでもかなり違うよ」
 本当にというのです。
「僕はそう思うよ」
「あがけるだけあがけ」
 太田さんはこうも言いました。
「中学の時先生にそう言われました」
「スランプの時はだね」
「はい、美術部の先生に」
「それで描いてるんだね」
「そうしています」
「こうした時こそ」
「そうです、けれど」 
 太田さんはコーヒーカップを片手にしていますが今は飲んでいません、自分のことをお話することに集中していてです。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ