第四幕その一
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第四幕 研究室に来て
先生は論文をどんどん書いていきます、書くのは速いのか研究室に来た王子にこんなことを言いました。
「数日中にね」
「今書いている論文もだね」
「書き終わるよ」
脱稿するというのです。
「そうなるよ」
「速いね」
王子は研究室のテーブルの席に座っています、そこでいつも通り傍に立って控えている執事さんに淹れてもらった紅茶を飲んでいます。
「いつもながら」
「うん、書くとなるとね」
パソコンのキーボードにどんどん打ち込んでいっています。
「速いんだ、昔からね」
「慣れてるからかな」
「何しろ学生時代からね」
イギリスにいたその頃からです。
「文章を色々書いてきたからね」
「学問としてね」
「うん、だからね」
それでというのです。
「書くのは速いんだ」
「調べることもだね」
「読んだりすることもね」
学問の本や資料をです。
「実際に速いね」
「そうなんだね」
「やっぱり学生時代からそうしているとね」
「速いんだね」
「慣れているからかな、思えばね」
先生が思い出すことはです。
「医学も文学も法学も哲学もね」
「色々な学問でなんだね」
「博士号の論文も書いてね」
「そうした論文も速くなんだ」
「書いたよ」
「やっぱりそうなんだ」
「書くのはね」
本当にというのです。
「速いから一年の間に博士号の論文もね」
「どんどん書いたんだ」
「それで博士号を幾つも貰ったよ」
「それは凄いね、博士号なんてね」
それこそと言う王子でした。
「一つ貰うだけでも凄いのに」
「そう言われているね」
「それを幾つもだからね、先生は」
しかも文系理系問わずです、先生にとって学問は文系も理系も同じだけ重要です。どちらが偉いとは全く思っていません。
「凄いよ」
「そうかな」
「僕なんて論文一つ書くにもね」
それこそというのです。
「一苦労だから」
「あれっ、けれど王子は」
「うん、大学は一つ卒業しているよ」
「イギリスの大学をね」
「そこで論文を書いたじゃないか」
「だからその書くことがね」
王子にとってはというのです。
「一苦労なんだ」
「そうなんだね」
「うん、先生みたいに論文を量産出来るって」
それこそというのです。
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