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ep.049 リーダーとNo.1
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含まれているような感覚がする。それは『悪意』などで表せるほど単純ではなく、そもそも含まれているものが闇で済まされるかすら分からない。
「この情報は組織の規模の大小に拘らず、どの組織に対しても有効な情報になりますよ。何せどちらも第0学区において強力な組織の一角だ。負ければ他の組織は負けた方から強者の称号を奪うために戦争を仕掛ける。それに便乗して他の組織も動き出す。多くの組織が動けばより情報を売る機会が増え、こちらは情報という力を持って強者の一角を奪い取れる。」
観測者はそれを聞きながら半ば引いていた。つくづく善意のないこの青年が考えるのは治安も秩序もない荒廃した世界だ。
「まぁ、強いて言うならば野口くんには負けて欲しくないですかね。一応、ライバルみたいなものですから。」
「君が考えていることに私的な興味は示さないよ。あくまでも観測者だからそれに徹するまでた。」
自分の役割は自分が一番理解している。自分というシステムは抑止力として機能するわけではない。その本質はあくまで観測者。
「それは無関心な態度とも取れますね。確かにアナタは観測者としては一流だと思いますけど、観測ばかりで手を加えようとした時には既に手遅れになっている。なんてことにならないように注意してくださいね。」
青年のその言葉を聞いて少しばかりの沈黙が続く。そして再び観測者が沈黙を破る。無論青年も何について説明すべきなのかは理解していた。
「そう言えば野口くんは昨日までsubjectによって監視されていたと聞いていたが、君はどうしてだと思う?」
「あぁ、アレですか。俺が手を回したんですよ。あの組織とは割と長い間取引を続けています。objectという看板の下で独自にビジネスを進める。本当に彼らも狡猾だと思いましたよ。珍しくこっちから契約を申し出た。」
「その結果として今回も彼らを動かすことに成功したというわけかい?」
「まぁそういうわけです。長年取引を続けているから分かることですけどsubjectはobjectに100%従順なわけではない。『脳ある鷹は爪を隠す』っていうことわざの通りに、彼らは本領発揮していないだけ。」
そう告げるとさっきまでしゃがんでいた青年は立ち上がる。どうやらもうここに残る意味はないらしい。
「最後まで見届けないのかい?」
「観測者であるアナタならその意味はあるかも知れませんが、情報屋である俺には無意味ですね。結末が分かっているなら次の情報を探りに行きますよ。」
再び時空の歪みらしいものが現れ、青年はその中に飲み込まれていく。登場の時と言い二度もこの現象を見るということはそれが彼の能力なんだろう。
「たとえ求めていない情報であっても、俺の組織にやってくる。時間の問題ですよ。
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