0042話『敷波の焦り』
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た態度を取っていますが心では司令官のお役に立ちたいと思っていると思いますから」
「そうか…」
それ以上は聞かない事にした。
敷波にも隠したい思いとかあるものな。
しばらく歩いて練習場へと足を運ぶとそこでは一人海の上を滑りながらも的に狙いを定めている敷波の姿があった。
「いっけー!」
敷波が連装砲から演習弾を放つ。
それはいくつもある的に当たっていく。
だけどいくつか外してしまっている。
それで少し悔しそうな顔になっている敷波。
「まだ…こんなんじゃ実戦じゃ通用しない。このままじゃ司令官の役に立てないよ…」
敷波は私と綾波の存在に気づいていないのか本音から来る言葉を発して必死に何度も演習弾を撃っている。
でも焦りから来る砲弾は照準を鈍らせて終いには疲労からか当たらなくなっていた。
その姿が少し悲しく見えてきた。
「綾波、止めて来てもらっていいか…? 見ていられないから」
「わかりました」
それで綾波が艤装を出して敷波の方へと出ていった。
「敷波。もうその辺で止めましょう。為にならないわ」
「綾波姉…でも…このままじゃ司令官にも期待外れの目で見られちゃうよ」
「司令官はそんな人じゃないっていうのは知っているでしょう? だから今は焦らずにゆっくりとでもいいから確実に練度を上げていきましょう」
「だけど…」
まだなにかを言いそうな気配だったので私は敷波に向けて声を上げた。
「そうだぞ敷波!」
「うぇ!? 司令官、いたの!?」
そこで敷波は初めて私がいたのを気付いたのだろう慌てている。
私はそれに構わず私も艤装を出して敷波に近寄って行って、
「敷波。私は練度が低いからって君の事を役立たずとかそんな扱いはしないぞ。
それに私のために頑張って練度を上げている姿は何度も見ているから期待もしているんだ」
「そ、そうかよ…」
「だからさ、焦らず自分のペースでやっていかないか? いつか敷波の努力は実を結んで活躍できる日が来るさ」
「本当…?」
「ああ。だからもう無茶な練習は無しな。わかったか?」
「うん、わかった。司令官がそう言うんだったらもう無茶はしない。だけど約束してね。いつか敷波も活躍させてね」
「うん。約束するよ」
それで敷波はやっと笑みを浮かべてくれてそれを見た綾波がほんわかな表情になって、
「はぁ…敷波の笑顔、癒されます。感謝ですね〜」
「ばっ! 綾波姉、あんま見ないで!」
そんな姉妹のやり取りを見てもう敷波も大丈夫だろうという思いになった。
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