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第八十八話 これが両雄の初対決になるでしょうか。(その2)
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ファイエル!!!」
驟雨がヤン艦隊を襲った。効果的に砲撃を浴びせられたヤン艦隊は次々と四散し、あるいは離脱してその数を減らしていく。ティアナは攻撃を倍加させた。ここでヤン艦隊を仕留めてしまえば、後の戦いがぐっと有利になる。ここまで来て手を抜くなどという器用なことはティアナには出来なかった。ヤン・ウェンリーの人となりは尊敬しているし、彼の幕僚たちにも一目会ってみたい。そのような事が実現できると思うほど、ティアナは楽観していなかった。目の前に新たに起こった奇妙な事象に当惑していたという事もある。敵は攻勢を受けて乱れるどころか果敢に応戦してきたのだ。
「どういうこと・・・・?」
あれだけの砲撃を受けて乱れない方がおかしい。眉を上げたティアナは新たに戦艦群を投入して一気に撃滅を図ろうとして、はっとなった。敵の狙いが不意にわかった。隠しゴマは一つではなかったのだ。
「しまった!!さらに上!?」
キッと上を見上げるティアナの眼前に自由惑星同盟の艦隊が降り落ちてきた。高所をとったと油断していたところに宙域ギリギリいっぱいの更なる高所からの砲撃!!
「くそっ!艦隊、中和磁場シールド最大展開!!」
ティアナは叫んだ。彼女の旗艦及びその護衛艦隊は全力を挙げて集中応射し、敵の進撃を跳ね返した。だが、攻勢に強い彼女には致命的な欠点があった。長所と短所は合わせ鏡のように隣り合っている。つまりは守勢に弱いのである。
「回避が・・・・間に合わない!!!!」
ティアナは上空をにらみながら、叫んだ。叫ばざるを得なかった。ヤン艦隊の艦首はすべて彼女の艦隊の頭上から降り落ちてきている。まるでその姿は獲物に襲い掛かる鮫そのものだった。


「撃て!!」
振り下ろされた腕と共に勢いよく射出された何千何万もの槍が次々と敵陣に突き刺さる。ヤン・ウェンリーの躊躇いない采配と、各艦隊の迅速な運動、それに尽きぬ闘志がティアナ艦隊を襲う。彼らは次々と明滅する光球の中を疾走する豹のように駆け抜け、蹂躙しつくしていった。崩壊した磁場の穴からなおも撃ち込まれる砲弾が艦を引き裂き、兵士の残骸を無重力の漆黒の空間に追い落とし、哀れな塵と化すまで数秒を要しなかった。


「ヤン・ウェンリーィィィィィィィッッッッ!!!!!!!」


ティアナの全身からの叫びが艦橋要員の心臓を貫いた。それは渾身からの、彼女の本気の叫びだった。艦橋のあらゆるシステムが一時異常をきたし、あらゆる要員が思わず耳をふさぎ、ビリビリとした波動があたり一面を駆け巡る。たったの一声であったが、それは敵からの恐怖を拭い去って余りあった。この瞬間彼女の闘志が艦隊に乗り移ったかのように全軍が壊乱をとめたのである。
「やられっぱなしになるな!!!」
ティアナは右腕を振りぬいた。彼女の全身からはもはや隠しようもない赤いオーラ
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