第44話 脱走
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「真姫ちゃん……どこにゃ?」
「うぅ……大地くん怖いです」
俺を戦闘に背後でぎゃいぎゃい騒ぐから非常に鬱陶しい。
イライラしながらも、何故か手に馴染んだモップの柄が少しだけ心強い。
まずは1階から見て回ることにした。三人の部屋は2階。
侵入経路は考えられて3つ。
一つは玄関。しかし、三人と俺の穂乃果、そしてリビングからお茶とお菓子を持っていこうとした花陽以外は玄関前の広場でトレーニングしていた為に見つかる可能性が高く、一番あり得ない手段。
もう一つは窓から。全部内側から鍵がかけられていると仮定しても窓を割られたような音を誰も聞いてない事からこれも使われていないと考えられる。
しかし、あくまで"鍵をかけられていた"という前提において成立する結論なために保留。
最後に、どこかの隠し扉的な場所からの侵入。
まぁ完全に推理モノの小説の読み過ぎだが、真姫の家くらいのお金持ちならあってもおかしくない。
そうなると、真姫の身内が濃厚。しかし、今回は誰も従者を呼んでいないと真姫から来る前に聞いているために難しい。
すべて可能性は低いが、有り得ないということは有り得ないので、こうして怯えながらも1階の捜索をしている。
「じゃあ、開けるね?」
穂乃果がドアノブを握ると、俺と手の震えたにこがぎゅっと"武器"を構える。
「よし、開けてくれ」
俺が頷くと同時に、にこはドアを開いてその陰に隠れる。そして俺は頼りない仲間を引き連れてモップや枕を突き出しながら中へと入っていく。
同じ様な事を一つ一つ確認していきながら、捜索していった。
全員が一つの部屋に入ったのでは、その間に逃げられる可能性がある事と、狭い部屋に何人もいると乱戦になった時不利になるから、という理由で中に入るのは一番肝が据わった俺とにこだけ。
その他は廊下で待機して俺らの行く末を見守っている。
最初は緊張していた事も同じ事を繰り返す内にだんだんバカらしく思えてきた。
さっきまでガタガタ震えていた絵里も同じらしく、緊張や怯えきった顔も元に戻っている。
「こんな大それた事してるけど、本当に真姫らは誘拐されたのか?」
「……は?」
しかし、にこの反応は『コイツ何言ってんの?』という小馬鹿にされたリアクションだった。
「最初に"誘拐"という言葉使ったアンタがそれ言う?!」
「……それもそうか」
リビングやキッチン、書斎、防音ルームも含め一通り見て回ったが、一階には人の気配は無かった。
残るは2階だけ。
ギシ、ギシ、と軋む階段をゆっくり上る。
「そういや希」
「んー?」
「希ってなん
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