第44話 脱走
[1/6]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
───花陽はこう言った。
「海未ちゃんとことりちゃんと真姫ちゃんがいなくなりましたぁっ!!!」
〜第43話 脱走〜
「……」
「……」
「……」
きっとこの場にいる誰しもが同じことを考えているだろう。
正確には真姫、海未、ことり以外の7人は頭上に疑問符を浮かべて”間違いなく”同じことを考えている。
───なぜに???
……そう、なぜに。
何故彼女ら三人が脱走したのかまったくもって理解できないのだ。凛やにこ、穂乃果が脱走したと聞かされたら、それはまだ納得ができる。そういう立ち位置にいるだろう三人だからまだ、頷ける。
しかし、だ。
今回は少なくともμ`sの数少ない常識人の三人が脱走したという。だから頭を抱えているのだ。
脱走する理由が見つからない。
「私が、新曲作りを頑張ってる三人の為に冷たいお茶と和菓子をそれぞれの部屋に持って行ったんです」
花陽は自白するかのように説明しだした。誰も特に何も言わずに花陽の話に耳を傾けている。
「ノックしても反応が無かったのでそっと開けたら真姫ちゃんがいなくなってて」
「なにか…メモとか置いてなかったん?」
「はい……ピアノには作成途中の楽譜が置いてあるだけでした」
どこから持ってきたのか、希は片眼鏡とキセルを装着して、如何にも探偵です感を出している。もう完全にノリがミステリーのソレである。
花陽も花陽でハンカチを目に当てて嘘泣きをしている。
花陽がそんなことをする子だとは思ってなかったので、ちょっと悲しい。
俺の心境を知らずしてこのしょうもない茶番は続く。
「その後不安になって海未ちゃんの所にも言ったんですけど、同じように誰もいなくて.....」
その様子だと、ことりの部屋ももぬけの殻だったのだろう。
多少なりとも気を紛らわすためにか、花陽もノリで言ってるけどやはり不安の方が大きくて肩を少し震わせている。
「海未の部屋も、ことりの部屋も何も無かったのか?荷物とか」
「荷物はちゃんとありました。でもことりちゃんの部屋には......」
「部屋には?」
ぐずった花陽は一拍間を置いて、
「......ホノカチャンタスケテ、と机の上に書いてありました」
そうして差し出したのは1枚の紙切れ。それを見た瞬間にあー、と俺と絵里、にこは頭を痛そうに抱えてしまう。
知ってた。ことりは大の穂乃果好きだから意味あり
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ