第18話<犠牲>
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いた銃声が路地に響く。寛代は弾かれるように仰向けに倒れた。
「寛代!」
私は銃口を下げて叫んだ。
異質な敵……深海棲艦に人間的な常識は、まったく通用しない。それは過去の戦いからも分かっている。
対話して油断したか……冷酷な相手であることを改めて悟ったが、もう遅かった。
私は直ぐ寛代に駆け寄ると、彼女を抱き起こした。だが寛代は無言だ。赤いセーラー服の胸の辺りに小さな弾痕が残っている。そしてピクリとも動かなかった。
「寛代……」
どこか抜けた、おバカな駆逐艦だと思っていたけど……自分の身近に、まだ立派な兵士がいたのだ。誤解していた……。
「クッ……済まない」
何かが込み上げて来るが必死に堪えた。
ふとあの海戦……『白い海』を思い出す。結局、バカなのは私……そんな指揮官の下で犠牲になるのは一途な兵士ばかりだ。今更、悔いても遅いが。
そんな私の心情を見透かすように深海棲艦は冷静な口調で続けた。
「バカナ艦娘ダ。海軍ニ、コキ使ワレ最期ハ、コノザマダ」
その言葉に私は無性に腹が立ってきた。
「違う!」
深海棲艦は銃口を下げて目を細めた。
「ナニガチガウ?」
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