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黒きローブの勇者
プロローグ
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簡単な作りになっていて、一昔前の建物という雰囲気を醸し出していた。
俺は少し不審に思い、悪いとは思ったが窓から中の様子を伺うことにした。
窓もガラスは放っておらず木が十字になっているだけの作りだった。
恐る恐る中を覗く。
そこに寝ていたのは、漫画やアニメでよく雑魚モンスターとして出てくるオークだった。
豚の顔をした人。
思わず俺は悲鳴をあげてしまいそうになり、慌てて口を塞ぐ。
しかし、その少しの悲鳴でオークは目を覚ましてしまった。

「誰だ!」

オークの叫びとともに、俺は頭を引っ込める。

やばいやばいやばいやばい!

オークはのっそりと起き上がり壁に立てかけてあった大きな棍棒を持って、家から出る。
足音がだんだん近くなるにつれ俺の鼓動はどんどん早くなっていった。
そして、俺が視認できるかできないかの位置まで来た時にどこからか女の子の声が聞こえて来た。

「オーク!覚悟しろっ!」

森から飛び出して来たのは白いローブを被った少女だった。
少女は右手に短剣を持ち、腰にはナイフを携えていた。

「またお前か、懲りない人間だな、今日という今日は犯し倒してやるからな」

そんな物騒なことを言いながら棍棒を構えるオーク。
少女の方は、距離を取りつつオークの動きを待っていた。

「私のお母さんは!お前に散々犯された後、ゴミのように捨てられたんだぞ!そして死んでしまった。絶対に殺してやる!」

「ああ、あの女の子供だったのか、どうりで似ていると思った」

「殺す!」

少女は腰に携えていたナイフを投げる。
ナイフは真っ直ぐ飛び、オークの右目に刺さった。

「ぎゃあああ!」

オークが右目を抑えて唸り声を上げる。
少女はその瞬間を逃さなかった。
一瞬の隙。
まるでこうなるかと予測していたように、少女は跳躍し短剣を構え、綺麗な軌道を描き、やがてオークの頭部を真っ二つにしたのだった。
オークはそのまま倒れ、動かなくなった。
少女は白いローブが返り血で赤く染まり、まるで赤ずきんのようになっていた。
その一部始終を家の陰から見ていた俺は、やがて立ち上がり、少女の元へと歩く。

「誰!」

「待ってくれ、俺はカイトって言う」

「なんか用?」

「ここは一体何処なんだ?」

少女は首を傾げ、やがて何かを思いついたように短剣をしまう。

「君、よそから来たのね。ここは『彷徨いの森』オークを始めとした色々なモンスターの生息地なの」

「すまない、少し状況が掴めないでいるんだ」

「そうなの、えっと、王都まで送りましょうか?」

「そうしてもらえると助かる、ありがとう」

「でも、今日は遅いからこの薄汚いオークの小屋で一泊しましょう」

「わかった、君は
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