暁 〜小説投稿サイト〜
黒きローブの勇者
プロローグ
[1/3]

前書き [1] 最後 [2]次話
いつからだろう。
この日常に隔たりを感じはじめたのは。
いつもと同じ教室なのに、どこか遠い場所のように感じる。
そして、また今日もつまらない日常が始まろうとしていた。

『ジリリリリン』

枕元で目覚まし時計が鳴り響く。
部屋のカーテンの隙間からは眩しい太陽が覗いていた。
ベットから出て洗面所へと向かい顔を洗う。
台所で朝食を作り終え、時間を確認すると、もう7時半を回っていた。
急いで朝食を済ませ、カバンを持ち家を出る。
今日から新学期なので家を早めに出たのだ。
俺が通う私立桜ヶ丘高校は俺の住むアパートから徒歩15分というところにあった。
両親ともに海外で働いているため、俺は現在アパートに一人暮らしをしている。
定期的に両親は帰ってくるが、月に一度だけだ。
家を出て、左に曲がり長い坂を歩いていた。

今日から新学期か。

下を向いて歩く俺は、信号機が赤になっていることに気がつかなかった。
左からのトラックに気が付いた時には、もう遅かった。
トラックが俺にぶつかるまで数秒のはずなのに、すごく長い時を過ごしているように感じた。
その数秒に思い出されるのは家族や友達との思い出、走馬灯というやつだ。
衝撃。
そして、沈黙。
その瞬間、俺は死んだのだった。


*****


目が覚めると、レンガ造りの部屋にいた。
壁には松明が刺してあり、剣や弓などの武器が並んでいる。
木箱には黒いローブや、鎧などが入っている。

「こ、ここは、どこだ?確かトラックに轢かれて......」

俺は自分の体をあちこち触ってみたが、大きな怪我や傷みなどは一切なかった。

「どうなってるんだ?」

制服に身を包んでいる俺はとりあえず自分の居場所を確認しようとポケットからスマホを取り出した。
スマホの画面に表示されているのは圏外という文字。

「スマホは使えないな。どこかの倉庫の中かな?」

部屋を見回すと、奥に階段があった。
その階段を登っていくと、広い草原に出た。
辺りは暗く、月光だけが草原を照らし、草に跳ね返った光が幻想的な空間を作り出していた。

「夢なのか、それともあの世か?」

自分の頬を思いっきり叩いてみたが、冷める気配はない。
ここにいても拉致があかないと悟った俺は、道路を探すことにした。
空に光る北極星らしき星を目印として、南へと歩く。
ちょくちょくスマホに目をやり、圏外が直るかみていたが、一向に電波は回復しない。
しばらく歩くと、道路ではなく、灯りが見えて来た。

しめた、自販機だ!

俺は、走ってその灯りへと向かう。
しかし、その灯りは自販機ではなかった。
どうやら民家らしい。

しかし、こんな森の中に民家があるなんて。

その家は木造の
前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ