0041話『いい雨だね』
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「はは、ありがとう」
そう言って私は金剛の頭を撫でる。
それで金剛もされるがままになっているので私も気兼ねなく撫でる。
だけどそこで私の中で今は一番嫉妬焼きが多い印象の榛名がでてきて、
《金剛お姉様、ずるいです…榛名も提督に頭を撫でてもらいたいです…》
「Oh…そうでした。榛名は触れないから提督に触れられないのデシタネ」
《はい。あ、いえ…私からは触れることはできるのですが皆さんからは私は触る事ができないんです》
「そうですか…榛名? いつでもいいから本音をぶちまけてもいいですからネー? 私が受け入れマース」
《はい。ありがとうございます、金剛お姉様》
「Yes! それで提督もセットで来てくれるんですから嬉しいデース」
金剛の狙いはそれなんだよな。
榛名はできるだけ金剛姉妹と過ごしたいと思っている。
だけどこの姉妹たちだけを構う訳にもいかない。
日々艦娘達のメンタルケアもしていかないといけないからな。
自意識過剰かもしれないけど私が構うことが出来ずにそれで寂しがっている子達も実際は結構いるわけだし。
まぁ、それはおいおい考えていくか。
私は聖徳太子じゃないから全員の言葉に耳を貸すことは不可能だしな。
とにかく、
「金剛、少し歩かないか…? やっと報告書作成も終わったし気分転換もしたいしな」
「わかりましたー! それじゃ傘を用意しますね」
それで私と金剛は傘を用意して小雨が振っている中、中庭を歩いている時だった。
「オー、あれは時雨デスネ?」
金剛が指さした方を見ると木の下で雨に濡れているのか傘をさしていない時雨の姿があった。
そういえば………金剛に時雨。
この二人の進水日は確か一昨日だったか…?
そう考えて今からでも遅くないかなと思って、
「金剛。少し時雨と一緒に雨の中だけどお話でもしようか」
「いいんですか?」
「ああ」
それで私と金剛は時雨へと近寄っていくとあちらもこっちに気づいたのか、
「提督に金剛…いい雨だね」
「はい! そう思いマース」
「そうだな。時に時雨はどうしてこんな雨の中外に出ているんだ?」
「そういう提督達こそ」
「私はやっと報告書が終わって気分転換に金剛を誘ったんだ」
「そっか。…僕は、そうだね。雨に濡れたいと思った事かな…?」
「濡れたい…?」
「うん…深海棲艦を撃退した後はいつも僕はこうして雨の中を歩いているんだ。
気落ちしている時でも雨は平等に降り注いでくれて硝煙の匂いも誤魔化してくれるから」
それで私は少し驚く。
時雨と言えば雨が代名詞だけどそんな理由もあったんだな。
だから私はそんな時雨の頭に手を置いて撫でてやる。
「な、なんだい? いきなり…」
「いや、ただそんな思いを抱かせてしまってすまない
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